テクノロジー

社会と生活に貢献してきた科学技術の歴史

 14世紀にイタリアから始まったルネッサンスは、人間賛歌を歌い上げ物質文明の発展をもたらした。この時代の流れの中で、科学技術はその発展に大きな貢献を行ってきた。

 このことは、以前実施した科学技術の貢献に対するアンケート(科学技術を基盤とした豊かさ論・三菱総合研究所2005年)でも8割を超える回答者が、科学技術は社会の豊かさに役に立っている(大いに役に立っている45%、役に立っている38%)と答えていることからも疑う余地はない。右肩上がりの経済成長を前提とした社会においては、科学技術政策は産業振興を主目的として、各技術の高度化を目指す指向性を持っていた。

 しかし、アンケートの結果を見ると、市民がこれからの科学技術に期待する事項としては、「病気を克服し健康に寄与」、「災害等への安全対応」、「資源・エネルギー確保」が上位の要望内容となっており、具体的な技術としては、「ガン等への医療技術」、「より高度なコンピュータ技術」、「生活支援ロボット技術」となっている。

 このことにより、市民の科学技術に対する期待は、これまでの産業振興から、生活を豊かにする科学技術へと変化している。また、将来の科学技術社会における心配な内容として「人間本来能力の低下」、「先進医療の高額化」、「犯罪の高度化」が挙げられており、不安な個別技術としては「クローン等の再生医療技術」、「遺伝子組み換え技術」、「核融合や原子力等の巨大技術」となっていて、科学技術の安全に対する懸念は大きい。

個人生活の豊かさとバランスを重視した科学技術を

 このことは、市民が社会の在り方について、産業を重視した右肩上がりの経済成長社会から個人生活の豊かさに視点をおいたバランスを重視した社会システムへの変更を求めているということだ。

 長寿命化をもたらした医療技術も、高齢者が働く場所が少ないままの現制度下においては、年金に必要な支出の簿増大をもたらすだけでなく、高齢者の生きがいも奪いかねない。また、寿命はのびても、心身の健康が維持されない状況では、社会保障費や家族の負担の増大をもたらすことが明らかになってきた。

 特定の事項への効果の高い成果をもたらす科学技術を開発することが、かえって個人の生活設計や社会の運営において好ましくない影響を及ぼすことがあるのだ。

 新たな科学技術の研究開発を行う者は、その成果がもたらす影響から目を背けてはならない。

 

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