文化・ライフ

現在将棋界では、優勝賞金最高額の竜王戦七番勝負が行われています。

 タイトル保持者は渡辺明竜王。20歳の時から9年連続でタイトルを保持し、あの羽生善治三冠に3連敗と追い込まれながら、その後4連勝をして防衛という偉業を成し遂げた人物です。挑戦者は森内俊之名人。2004年に渡辺さんが初めて竜王位を獲得した時の相手です。名人VS竜王の対決ということで、まさに頂上決戦。否が応にも盛り上がります。

 実はこの竜王戦、3年前に丸山忠久九段が挑戦した時からずっと、シリーズをとおして同じ戦型が続くという不思議な現象が起こっているのです。

 丸山九段は得意戦型がハッキリしているということで全局同じというのは予想できましたが、今回まさか先後入れ替わっても同じ将棋になるとは思ってもみませんでした。特に渡辺竜王2連敗という出だしで、三たび挑むというのはかなり勇気がいること。もし破れて3連敗ということになれば、精神的なショックは計りしれないでしょう。それでも同じ戦型にこだわったのは、お互い意地のぶつかり合い。プライドを懸けた男の勝負です。

 渡辺竜王からすれば、負かされたままではいられない。「やられたらやり返す、倍返しだ」というところでしょうか。

 番勝負(タイトル戦など同じ相手と何局も続けて指すこと)ということで、第1局に振り駒をすると2局目以降の先後が決まってきます。ある程度は相手の選ぶ戦型のめどもつくのですが、「この将棋の時はこう、この将棋の時は……」というように、どんな戦型にも新しい研究手順を用意しておかなければならず、その研究量も膨大です。

 新しい手が指されるとそれに対しての研究がなされ、また新たな手が生み出される。しかしパソコンのデータのように上書きされるわけではありません。以前の変化もしっかり残さなければならないのです。

 でも棋士はそれを苦とは思わず、楽しんでいます。新手が出るとワクワクしてくるのです。探究心がなければこの世界で勝ち残ってはいけません。そんな理解し難いところが棋士の魅力なのかもしれませんね。さて、七番勝負の行方はいかに……。

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