国際

タイの強いサプライチェーンを武器に日系企業を引き込む

 

 -- 日本からタイへの投資が増えた要因は。

「中国プラスワンの投資先としてASEANを考えてくれているとは思うが、それは多数の要素の1つにすぎない。タイの成長率が高いレベルにあり、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の成長も、タイに好影響を与えている。タイはこれらの国々をつなげるロジスティクス網や中国南部をつなげるネットワークを持っているので、マーケットの広がりが期待できる。タイ国内の経済成長と近隣諸国の成長によって、日本の投資家はまだまだ入ってくるだろう。さらに、タイはさまざまな産業において強いサプライチェーンを持っているので、日本の中小企業を引き込めるのではないか」

 -- 自動車部品メーカーがタイに投資する際、BOI(タイ投資委員会)のサポートは。

「BOIとしては自動車部品メーカーに重点を置いて投資奨励している。例えば電子制御やオートトランスミッションなど、タイで生産されていない部品については特に力を入れて誘致している。BOIとしては、日系部品メーカーとタイの部品メーカーの連携、技術移転を促進する策として、年間5億バーツ程度の技術移転があれば1年間、8億バーツあれば2年間恩典を延長する。このスキームがうまく働けば、タイの部品メーカーの競争力が高まり、日本企業との連携も密接になる」

 

日系企業はタイを研究開発拠点としても活用してほしい

 

 -- タイから海外への投資状況は。

「これまで海外に投資してきたタイ企業は、食品、エネルギー、石油化学、化学品、ホテルなどの大企業。BOIの方針として、今後は中小企業がもっと海外に投資できるようサポートしていく。そのために、海外に投資するタイ企業のサポート部門を設けた。情報提供、コンサルティング、投資家開発プロジェクト、現地視察などのサービスを提供し、一部では既に海外投資を始めた企業もある。電機・電子、農作物の加工産業、繊維産業、建設、代替エネルギーなどの産業が海外投資に興味を持ち始めている。投資先として一番関心が高いのは、ASEAN諸国。次に国内マーケットが大きい中国やインド、その次に自然資源の多いアフリカ諸国といったところだ。2012年にタイから海外への投資は127億㌦に達した」

 -- 経済の減速にどう対処するか。

「例えば、政府の大型プロジェクトとして総額67億㌦のインフラ整備プロジェクトがある。さらに、政府の支出を増やして資金をマーケットに循環させる仕組みを考えている。成長産業を中心にインセンティブを与えて、国内でお金が回るようにする」

 -- 日系企業には何を期待するか。

「これまで以上に高度な技術を導入して、タイ国内で研究開発や技術移転をしていただきたい。タイに拠点を置き、さらに近隣諸国へ展開してもらうことで、お互いに大きなメリットが生まれるだろう」

関連記事

好評連載

グローバルニュースの深層

一覧へ

習近平政権下の中国経済と新時代の到来

[連載] グローバルニュースの深層

グローバルニュースの深層

[連載] グローバルニュースの深層

原油事情に関するロシアの分析

[連載] グローバルニュースの深層

プーチン露大統領の内外記者会見

[連載] グローバルニュースの深層

中間選挙後の米国を展望する

[連載] グローバルニュースの深層

中国を制するものは世界を制す

変貌するアジア

一覧へ

鴻海によるシャープ買収のもう1つの狙い

[連載]変貌するアジア(第37回)

変貌するアジア

[連載]変貌するアジア(第36回)

SDRの一翼を担う人民元への不安

[連載]変貌するアジア(第33回)

開催意義不明の日中韓首脳会議

[連載]変貌するアジア(第32回)

朱立倫の総統選出馬と台湾海峡危機

津山恵子のニューヨークレポート

一覧へ
無農薬野菜

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第20回)

CESの姿が変わる花形家電よりもネットワークに

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第19回)

米・キューバ国交回復のインパクト

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第18回)

クリスマス商戦に異変! 店舗買いが消え行く

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第17回)

格差問題が深刻化する米国―教育の機会格差解消にNY市が動き出す

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

上場して分かったTOKYO PRO Marketのメリット―前田浩・ニッソウ社長に聞く

多くの経営者が目標とする株式上場。しかし、上場に掛かるコストや時間、その他諸々の条件を考慮して、「上場は到底無理」と諦めてしまうケースも少なくない。そんな経営者にとって有力な選択肢となるのが東京証券取引所の運営する第五の市場TOKYO PRO Marketへの上場だ。2018年に同市場に上場を果たした、株式会…

前田浩氏

未来のモビリティ社会実現に向け日本と欧州の懸け橋に―シェフラージャパン

日本一歴史の長い女性用化粧品会社が挑む「革新と独創」―伊勢半

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

佐藤輝英・BEENEXTファウンダーに聞く「起業家から投資家に転身した理由」

Eコマースを中心に成長を続けるBEENOS。その創業者である佐藤輝英氏は、5年前に社長を退任。4年前には取締役を辞任し、経営から退いた。それまで起業家として生きてきた佐藤氏が次に選んだのは起業家支援。BEENEXTを設立し、新しいイノベーションを起こそうとしている起業家への投資を始めた。その中でも投資の中心と…

チェ・ゲバラに憧れた10代起業家が目指す「働き方革命」― 谷口怜央・Wakrak(ワクラク)社長

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年7月号
[特集] 素材の底力〜世界をリードする素材産業〜
  • ・素材のイノベーションが日本経済をリードする
  • ・化学工場 企業ごとの特色も鮮明に存在感増す化学素材
  • ・電気自動車普及が始まる車載バッテリーの覇権戦争
  • ・炭素繊維 市場を開拓してきた日本が技術的優位を保ち続ける法
  • ・「鉄は国家なり」の時代を経て問われる「日の丸製鉄」の競争力
  • ・経産省 日本の素材産業が世界をリードするための3つの課題
  • ・就職人気は下位に低迷でも焦らない素材メーカー
[Special Interview]

 日覺昭廣(東レ社長)

 「長期的視点で開発するのが素材企業のDNA」

[NEWS REPORT]

◆営業利益率10%突破 ソニーならではの「儲けの構造」

◆日本初の民間ロケットが宇宙空間に到達

◆携帯参入まであと4カ月 国内4番手「楽天」の勝算

◆日産・ルノーが直面する「経営統合問題」長期化の落とし穴

[Interview]

 「君は生き延びることができるか」──ガンダム世代が歩んだ40年

 常見陽平(評論家・労働社会学者)

ページ上部へ戻る