政治・経済

新たに誕生したJPXの滑り出しは順調

 東京証券取引所と大阪証券取引所の現物株市場の統合後、あいさつする東証の清田瞭社長 (Photo:時事)


東京証券取引所と大阪証券取引所の現物株市場の統合後、あいさつする東証の清田瞭社長 (Photo:時事)

 2013年1月1日付で、日本取引所グループ(JPX)が正式に誕生した。東京証券取引所と大阪証券取引所の合併により、上場企業数3423社、時価総額で4・2兆㌦となる世界第3位(1月時点)の巨大な取引所が発足。長らく注目を集めてきた両証券市場の統合が大きく動き出した。

中間決算で好業績滑り出し順調

 社会的影響も大きい両市場の統合の過程は当然、短い道のりではなかった。そこでまず、JPX誕生までの経緯を簡単におさらいしておきたい。

 2011年10月22日、東証と大証が統合に向けた協議を開始すると発表。産活法に基づく事業計画の認定や公正取引委員会での審査を経て、12年7月に東証による大証の株式公開買い付けが行われた。これにより東証は大証を子会社化。ホールディングス会社としてのJPXが1月1日付で、誕生する流れがつくられた。

 13年末でJPXが新たに誕生してからほぼ丸1年になるが、今年の動きを振り返れば、滑り出しは順調だ。市場の統合に向けて、取引機能統合の進展と併せて、初の中間決算でも好業績を上げるなど、前向きな要素がところどころに現れているからだ。

 まず何より言及しなければならないのは、現物株式取引の統合だ。7月16日には、東証と大証の現物市場が統合され、株式の取引は東証で一括して取り扱われることになった。統合前は東証で取引できなかった、約1100社の大証上場企業も1つの市場で取引が可能になった。

 JPXの担当者は現物市場の統合について、

「大証にだけ上場していた企業の中には、統合の前後で、売買が2倍以上になったところもある」

 と取引活発化にも一役買ったことを成果として語った。

 さらに、10月22日に発表された中間決算によると営業収益は617億円、前年同期比で167%と大きな増収となった。

 斉藤惇グループCEO自身も「増収要因として最も大きいのは現物株、それからデリバティブの前年同期を上回る売買だった。アベノミクスによる活況は7〜9月期には調整局面に入ったものの、売買量は前年を上回る高い水準を維持することができた」

 と語った。

 前年同期の東証グループと大証の営業収益を合計370億円から大きく数字を伸ばし、好調な発進を印象づける中間決算となった。

 他方で、東証・大証の合併による大きな効果の一つと目されていたシステム統合によるコスト削減については着々と準備が進みつつある。

 統合の計画によれば、80億円の費用の圧縮が見込まれているが、このうち75億円はシステム関連。今後の動きを考えれば、この費用削減も無視できない影響がありそうだ。

課題となる国際競争に JPXはアジア戦略を強化

斉藤惇・日本取引所グループ グループCEO

斉藤惇・日本取引所グループ グループCEO

 しかし、国内における金融取引で他を寄せ付けない圧倒的な地位にあるJPXだが、激化する取引市場の国際競争に目を転じれば、そのプレゼンスが盤石というわけではない。

 特に注目されているのは、アジアにおける国際競争だ。中国でもまだまだ見込まれる経済成長を取り入れるためには、各国の取引所としのぎを削らなければならない。

 例えば、香港取引所チーフ・エグゼクティブを務めるチャールズ・シャオジア・リ氏は、

「中国国内から国際市場への投資と、国際市場から中国国内市場への投資の橋渡しをする」

 と戦略を話すなど、今後さらなる発展を目指す考えを明らかにした。

 経済成長に陰りが見え隠れするとはいえ、まだまだ大きな存在感を維持する中国の経済を背景に、中国経済と世界経済の仲介役の位置を獲得すべく、着々と改革が進められているようだ。

 さらに、さまざまな形での統合が実現されてきた証券市場の統合であるが、ニューヨーク証券取引所ユーロネクストが買収され、大陸間取引所(ICE)が誕生するなど大きな動きはまだまだ尽きそうにない。

 世界的な再編を前にして、JPXが今後、直面する国際的な競争という点においては、まだまだやるべきことがあるといえそうだ。

 ただ、JPX自身も、国際的な競争に対して、単に手をこまねいているわけではない。既に来年以降のさらなる展開に向けた取り組みも動き出している。

 その取り組みの1つがアジア戦略。今年3月に策定、公表した中期経営計画では、「アジア地域で最も選ばれる取引所へ」をビジョンに掲げ、成長を支え、市場でのプレゼンスを高めていく方向性を打ち出した。

 ほかにも、インドの代表的指数CNX・Niftyの先物といった投資商品の上場準備が進展。アジア諸国との結び付き強化に向けた手が着々と打たれている状況だ。

 来年3月に予定されている大証へのデリバティブ市場統合

の際に上場する予定で、関係強化に向けた準備にも余念はない。

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