文化・ライフ

ネット依存で、中高生の6割以上が睡眠不足!

 

イラスト/坂木浩子

イラスト/坂木浩子

 先日、足を捻挫した知人が、「最近の若い奴は、ギブスをして松葉杖をついていても電車で席をゆずってくれない」とこぼしていた。まさかと思ったが、どうやらスマートフォン(以下、スマホ)に夢中で松葉杖に気付かない若者がけっこういるらしい。

 確かに、電車内でスマホやタブレット端末を使用する人はますます増えているし、学生服姿の中高生たちがスマホの画面に見入っている姿も、もはや電車内の日常的な風景のひとつとなっている。だが、公共の場でまわりが見えなくなるほどインターネット(以下、ネット)に熱中してしまうというのは、やはりちょっと気になる。

 パソコンやスマホによるネット依存については以前から問題視されてきたが、今年8月1日には、厚生労働省研究班が調査した中高生を対象とするインターネット使用実態が新聞等のメディアで発表され、大きな話題になった。なんと、「病的な使用」と判定され、ネット依存が強く疑われる中高生は、全国で推計約51万8千人にものぼるというのだ。

 この調査は、47都道府県の中高生約14万人を対象に行われたもので、学校を通じて配布された調査票に回答したのは約10万人。このうち平日のインターネット(以下、ネット)平均利用時間が「1日5時間以上」と答えた中学生は男子が8・9%で女子は9・2%。高校生は男子13・8%、女子15・2%。

 休日はさらに増えて、中学生の13・9%、高校生の21・2%にものぼることが分かった。

 だが、「病的な使用」かどうかは使用する時間の長さだけでは評価できない。そこで研究班は、国際的な評価尺度をもとに、「ネットのため、大切な人間関係、学校、部活のことを危うくしたことがあったか」「熱中しすぎていることを隠すため、家族や先生にうそをついたことがあるか」など8項目を質問。その結果、5項目以上が該当して「病的な使用」と判定されたのは全体の8・1%。全国約51万8千人と推計されたわけだ。

 ネット依存で最も心配なのは、生活や心身への影響だろう。実際、同調査でも「病的な使用」と判定された中高生の59%が「十分な睡眠がとれていない」、24%が「午前中の体調が悪い」と感じており、69・7%が気分の落ち込みを訴えているそうだ。

 

ネット依存のリスク―若い水晶体ほど、ブルーライトを透過させる!

 

 昨年ブルーライト研究会を立ち上げて研究や情報発信を行っている僕としては、スマホやパソコンから放たれるブルーライトの影響も大いに気になる。そこで、ぜひもっと多くの人にブルーライトについて知ってほしいと考えていたのだが、この報道があった翌日の記者会見で、何と下村博文文部科学大臣がブルーライトの影響について言及。しかも「医学的な見地から文部科学省でもぜひ調査し、健康面・精神面を含めた研究をしていく必要がある」とコメントしてくださった。

 この春に国際ブルーライトシンポジウムを開催し、ドイツの小学校ではブルーライトをコントロールできる照明器具を採用しているなど、海外での取り組みについても紹介してきたので、このようなタイミングで文部科学大臣として公式なコメントをしてくださった下村大臣に心から感謝するとともに、情報発信の大切さをあらためて痛感した。

 ブルーライトは可視光線の中でも、もっとも紫外線に近い波長を持つ青い光だ。1日24時間周期のサーカディアンリズムは、朝ブルーライトを浴びることで調整される。ところが、夜も明るい照明の中で過ごし、パソコンやスマホの明るい画面を見つめて過ごしている現代人はサーカディアンリズムが乱れやすく、このことが睡眠障害や肥満、ガン、うつなど、心身にさまざまな影響を及ぼす可能性があることが分かってきた。

 ブルーライトは目の角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達するため、長時間パソコンやスマホの画面を凝視すること

による眼精疲労や網膜への影響も懸念されている。

 スマホを使う中高生には、光の強さは光源と目の距離の2乗に正比例するため、目から近い距離で使用するスマホはパソコンよりブルーライトの影響が大きいこと、若い水晶体ほどブルーライトを通過させやすいことも、ぜひ知っておいてほしい。世のお父さん、お母さんたちも、未来ある子どもたちのため、自身のため、今後ともブルーライトに関する情報にご注目ください!

★テイクホームメッセージ★

 睡眠不足だと理性が鈍って食欲が高まる。十分な睡眠で摂って肥満を防ごう。

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