政治・経済

愛知県は輸出型製造業が多数集積する製造業の一大拠点である。アベノミクスによる円安の効果もあり、域内の輸出企業は完全に息を吹き返し過去最高レベルの収益を稼ぎ出す企業が増えている。デフレ化で低迷していた賃金水準も久々に上昇する見込みで、小売店の売上高も軒並み好転。また、悲願だったリニア中央新幹線の2027年開業が本決まりになり、中部経済圏は大きく飛躍しようとしている。そこで、大村秀章愛知県知事に中部経済圏の未来図を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

自動車復活で県税収入が6年ぶりに1兆円超へ

—— 日本経済は全般的に復活の兆しが鮮明になっておりますが、愛知県の現状は。

大村 愛知県は自動車産業をはじめ輸出型の製造業が主力で、電力の総消費量も東京に次いで第2位です。人口比から見ても産業が集積された「日本一の産業県」と言えます。

 2012年の製造品出荷額等は、40兆円の大台に乗りました。そして、昨年の円安の影響は非常に大きく、トヨタ自動車においては、3月期の連結営業利益が2兆4千億円で最高益を更新する見込みです。

 また11年度以来、私から全国の知事・市長に声を掛け取り組んできた自動車諸税の抜本的な見直しについて、自動車取得税の税率引き下げ、消費税10%時点での廃止、自動車取得税・重量税のエコカー減税の拡充、自動車のグリーン化措置の延長等が決定したことは、本県の基幹産業である自動車産業の活性化につながる画期的な成果であると思っています。

 14年度の県税収入は6年ぶりに1兆円を超え、前年度と比べると2割近くアップする見込みで、15年度も税収増が予想されます。

—— 知事の公約だった個人県民税の減税は、任期中に実施できない見込みですが、代替案などはありますか。

大村 減税は、大胆な規制緩和と合わせて実施することによって地域経済を活性化させ、地域に人・モノ・カネを呼び込み、「世界と闘える愛知」を実現するための政策として取り組んできました。個人県民税減税については、さまざまなご意見やご提言をいただき、形を変えて実現していきます。

 これまで12年度に産業空洞化対策減税基金を創設し、毎年、法人県民税の10%に当たる50億円を積み立てています。この日本一の企業立地補助制度を活用し、これまでに企業立地・再投資の分野で91件の補助対象案件を採択ました。

 総投資額1941億円、2万1千人余りの雇用維持・創出効果が見込まれ、研究開発等の支援についても合計126件を採択するなど大きな成果を上げてまいりました。14年度からは消費税率の引き上げに伴う対策として、個人県民税減税相当分を県民の皆様に還元したいと思います。

 今回「子育て支援減税手当」を設け、現行の児童手当に年額1万円を上乗せして支給することを開会中の2月議会に提案しています。さらには「障害者福祉減税基金」に30億円を積み立て、民間法人による社会福祉施設等の施設整備の補助に充てることにしています。産業空洞化対策減税基金、子育て支援減税手当、障害者福祉減税基金に、合計185億円を投じ政策を進めることで、減税に替わる大きな効果が上がると考えています。

リニア開通で首都圏と中京圏が一体化

—— 27年に開業予定のリニア中央新幹線はどのようなインパクトがありますか。

大村 「あいちビジョン2020」を3月に策定します。これはリニア開業後の30年頃を展望し、20年までの重点的な戦略を明らかにする新しい地域づくりビジョンで、目指すべき愛知の姿として、「リニアを生かし、世界の中で存在感を発揮する中京大都市圏」「日本の成長をリードする産業の革新・創造拠点」「安全・安心で、誰もが夢と希望を抱き、活躍する社会」の3つを掲げています。

 リニア中央新幹線の開業で東京と名古屋が40分で結ばれると、まさに地下鉄圏内となり、首都圏と中京圏が一体化し、世界でも類例のない人口5千万人の巨大なリニア大交流圏が形成され、愛知・名古屋が人・モノ・カネ・情報が行き交う西の拠点として発展していく絶好のチャンスと考えます。

 観光面では、首都圏との時間的距離が大幅に短縮され、リニア自体も観光資源となることから、本県の特色を生かした観光振興施策にもしっかり取り組みたいと思います。

 東京と40分で結ばれるのでストロー効果という懸念もありますが、中京圏の企業は高付加価値な製造業、モノづくりが中心なので過密な首都圏に出ていくことはないと考えます。

—— 愛知県は全国でも有数の農業県ですが、第1次産業の振興策は。

大村 愛知県は大都市圏でありながら、第6位の農業県です。農林水産業と商工業がバランスよく発達している本県の強みを生かし、“6次産業化”や農商工連携など、消費者・加工業者等の嗜好を的確にとらえる「マーケット・イン」の視点に立った商品開発や農林水産物の県内外での販売促進など、加工・販売面での取り組み強化を図ります。

 特に、愛知県の花きの生産は1962年から51年連続日本一で、菊をはじめバラ、胡蝶蘭等が全国トップシェアを占めています。「あいち花フェスタ」などの花と緑のイベント開催や花いっぱい県民運動に継続的に取り組み、花きの需要をより一層高め、「花の王国あいち」のPRに力を入れていきます。数年前から花業界と協力して推進しているのが「フラワーバレンタイン」です。欧米ではバレンタインデーに男性から女性に花を添えてメッセージを贈ります。日本で花を贈るフラワーバレンタインが広がれば、花きの需要が増えると期待しています。

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