
リニア開通がもたらすメリット
いよいよ今年着工となるリニア中央新幹線では、名古屋から東京までの300キロメートルがたったの40分に短縮されます。日本の主要都市の中で名古屋の優位性が上がることはもちろんですが、新たに首都圏の都市との競争にも参加することになります。
東京駅から40分で宇都宮、埼玉、横浜、千葉…そして名古屋に移動できます。これらの中に入れば、名古屋は商圏、産業、文化に至るまで異質です。距離が遠いことが違いを生み、逆に首都圏の各都市との競争においてメリットになるでしょう。
また現在、名古屋駅周辺の再開発として多くの高層ビルの建築が進められていますが、このように名古屋の軸足が栄から名古屋駅へと移る流れはリニアの建設によってさらに進むでしょう。ただ、歩きやすい大通りが整備されている栄に比べると、名古屋駅周辺は計画的につくられているわけではありません。高層ビルだけでなく、周辺を整備した上でソフト面を磨かないと、サラリーマンが時間を惜しんで働くだけの場所になってしまいます。リニア開通までの13年で、働く人たちも楽しいと思えるような空間づくりを急がなければなりません。
観光業も重要なキーとなります。名古屋は、現状でも高山、白川郷、伊勢といった近辺の観光地への中継地点として素通りされている状態です。今後は観光客のハートを掴んで、名古屋自体に人々を呼び込むことが必要でしょう。産業遺産や陶磁器など潜在的な観光コンテンツを磨いていくことが、名古屋が都市観光で生き残っていくポイントになります。
都市圏内アクセスのさらなる整備を
名古屋都市圏内の公共交通による移動を、より便利にすることも大きな課題です。東京—名古屋間が40分でも、そこから名古屋のどこかに1時間も掛かるようでは時間短縮の意義が薄れてしまいます。特に重要なのが、栄と名古屋駅間のアクセスを今以上に工夫することです。
名古屋駅周辺が活性化しても、栄が地盤沈下しないように、都心を一体的に開発する必要があります。現在、環状のLRT(次世代型路面電車システム)や広小路通のトランジットモール化なども計画されていますが、名古屋から栄を線ではなくその周囲も含めたエリアを面的に整備していくことが重要です。
東海道新幹線が開通して今年で50年ですが、その間、新幹線は日本を大きく変えました。東京—大阪間を含め、これだけ国民が行ったり来たりしている国は他にありません。中部地域の人々には、次の日本を変える最先端の交通機関がまずは東京—名古屋間に開通するということを前向きに捉えて、名古屋から始めるというパイオニア精神を持ってリニアに乗り込んでほしいと思っています。(談)
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