政治・経済

 中低位建設株が引き続き猛威を奮っている。10月30日の出来高上位20銘柄のうち8銘柄が名を連ね、西松建設(1820)、戸田建設(1860)、東亜建設(1885)、東洋建設(1890)、佐田建設(1826)など年初来高値更新も2ケタを数えた。今週に入って28日に大豊建設(1822)、29日に矢作建設(1870)がストップ高にハネ上げるなど異彩高するものが目立つ一方、出遅れてきた大手でも大成建設(1801)などが、9月高値を射程にジワジワと下値を切り上げつつある。

 昨今の建設株人気の発端となったのは、もちろん、9月7日の東京五輪開催決定だが、熊谷組(1861)、鉄建(1815)、大豊建設など、その後3倍高する銘柄が散見されるようになっても業種内の循環人気は収まらず、むしろ、ここにきて第2幕の様相を呈している。

 格好の刺激材料となっているのが増額修正ラッシュ。29日発表銘柄では、大末建設(1814)、日本道路(1884)、戸田建設などが好感買いを集めた。29日立会中発表の安藤ハザマ(1719)は直後から急伸して話題を呼んだ。

 7年先の東京五輪の思惑に頼らずとも、足元の事業環境が空前の好転を示していることが背景にある。まず、10月1日発表の日銀短観で、建設業の業況判断DIは「△(プラス)20」に急上昇(3月△5、6月△14)。まだバブルの残照を引きずっていた1992年6月(△38)以来、21年ぶりの高水準だ。そして、直近発表の8月の建設工事受注統計で、大手50社の受注総額は前年比△21・4%と5カ月連続増を記録した。

 こうした好環境の下、例えば三菱UFJ証券は先に、セクター判断を強気とし、大林組(1802)、鹿島(1812)、前田建設(1824)をニュートラルからアウトパフォームに引き上げている。変更日から2週間を経たが、それぞれ、目標株価までなお1割強の上値を残す。

 ただし……。30日の市場で圧倒的な出来高トップに立ったのが、100円台前半の無配株、三井住友建設(1821)だったように、「実際に買われているのは、中堅クラスの低位株。いくら収益増額が続き、業績変化率大と言っても、ファンダメンタルズで語るには少々無理がある。あくまでも材料株感覚。ガンホーを買った資金がコロプラや、一連のバイオ関連に向かったように、このセクターに流入しているのが実情か。とはいえ、個人投資家が元気になったことの表れでもあり、市場にとって喜ばしいこと。こうした流れ自体は、まだまだ続く。建設株も、極端な話、東京五輪開催の日まで何度でも買い直されることになるのではないか」(マネックス証券・広木隆チーフ・ストラテジスト)との声も上がっていた。

 東京五輪という将来の夢があって、足元の収益不安も皆無という〝贅沢な材料株〟。また、多くの銘柄が急騰を遂げたといっても、非常に長らくの雌伏期を経ているだけに、例えばPBR(株価純資産倍率)評価で、なお「解散価値」とされる1倍水準を割り込んでいる銘柄が決して少なくない。30日に高値更新した西松建、戸田建、東亜建をはじめ、奥村組(1833)、ナカノフドー(1827)、植木組(1867)、銭高組(1811)など材料株イメージを備えた銘柄も数多く、増額修正済みの青木あすなろ建設(1865)は0・5倍台だ。

 もう1つ、最近の建設株絡みの話題としては、安倍晋三首相も29日の開通式に出席した「トルコ海峡トンネル」の工事を大成建設が手掛けたことが挙げられる。海流が早いため世界最深となる難工事を世界初の工法で手掛けたことで、建設の世界においても「日本の高技術力」にあらためて光が当てられた格好だ。

 ちなみに大成建設は、前年度の建設業特許資産規模ランキングで、6位から1位に急浮上した経緯もある(2位鹿島、3位大林組)。23日に4~9月収益を増額済み(決算発表は12日)。9月ピーク時に4763万株に達した買い残も前週末で3581万株と25%減少し、荷もたれ感も次第に薄れつつある。

 短期急騰銘柄の飛び乗り飛び降りは相応のリスクを伴うが、セクター内での循環カサ上げ展開を読むなら、5月高値未更新の奥村組なども含め、出遅れ株にも狙い目が生じてきそうだ。

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