政治・経済

 半世紀を超えた関西の恒例行事「関西財界セミナー」が、新たな成長の実現に向け「今こそ関西から新しい力で変革を」をテーマに掲げて動き出した。関西が世界に誇る技術、集積してきた科学技術、さらには豊富な歴史、文化遺産、観光資源などを、文字通り〝新しい力〟で具体的な変革行動を起こしていくという誓い。それは、過去に論議してきた案件に加え、国の財政健全化、強靭なインフラ整備などをオールジャパンの視点から問い直すと同時に、いつやるか「今でしょ」の意気込みが、久々に蘇ってきたといえるようだ。

「高津の宮の昔より、世々の栄えを重ね来て……」と歌い継がれた大阪市歌の民の力。問い直し、実践するのは「今でしょ」。偏向し、行き過ぎた中央集権主義の弊害は、是正するには無理がある。しかし、アベノミクスで明らかに好転した経済環境は、外部要因に阻まれつつも、徐々に、上昇気流に乗る機運を育んでいる。

心斎橋筋商店街

心斎橋筋商店街

天六商店街

天六商店街

天五商店街

天五商店街

阪急東通商店街

阪急東通商店街

 関西、なかんずく大阪は、JR西日本の大阪駅はじめ、阪急エリアなどの再開発が進捗、南海電鉄によるミナミ、近鉄エリアの天王寺、阿倍野再開発が進み、随所でビルラッシュの様相を呈している。中でも日本一の超高層ビル「あべのハルカス」は3月初めの全面開業を前に、昼間人口が様変わりし、開業後の賑わいはすさまじい。

「あべのハルカス」と大阪駅北ヤードの複合施設「グランフロント大阪」は、若者に人気の大型商業施設が入り、すでに流通戦争突入の様相を深め、100店舗、200店舗の増加による社員、アルバイト店員などの求人数が急増する効果を生んでいる。

 ただ、大阪駅周辺の流通戦争では、すでに優勢劣敗が明白になり、阪急・阪神のH2O、それに大丸の健闘でJR大阪三越伊勢丹がいち早く6割もの売り場を縮小、専門店にスペースを提供する方針を打ち出すなど、流通戦争熾烈化が現実味を帯びているのは、先行きの不安材料だ。

 ちなみに午前11時、三越伊勢丹を覗いてみると、店内すべての売り場の客足はゼロに等しく、所在無げに店員が私語を交わし、通路をうろつく顧客のほとんどが手ぶら。経営陣のはじいた勝算は、素人はだしの印象を深めるばかりであった。

 ただ、既存の商店街、特に心斎橋筋、天神橋6丁目の長い商店街、それに十三商店街などは、物品販売、それに飲食店が日中でも頑張り、夜ともなれば飲み屋街が好調らしく「庶民には、値ごろ感、うまくて安いという安心感」とか「増えた百円ショップがどこも盛況」の声。「大阪の庶民は皆、賢い」のだそうだ。

 いわゆる〝箱もの〟を造る大手ゼネコン、建築設計、中小の建設会社も息を吹き返し、工事に携わる労働者確保の問題が今後の課題。目下のところは〝賃上げ〟で地方からの労働力確保で賄えているが、ある大手は「外国人労働者の確保を視野に入れ始めている」と。

 幸い、株価が物語るように、企業業績は上向いている。特に関西系企業では、大和ハウス工業、ダイキン工業はじめ、化学、医薬品、商社、輸送機器、サービス関連株が相場をリード、現物株取引の無くなった大阪証券取引所のデリバティブが人気づくなど、様変わりの様相を呈し始めている。目前に迫った消費税の引き上げ、税制問題などが今後の日本経済に及ぼす影響は不透明ながら、専門家筋はひところの弱気感から脱却し「上を向いて歩こう」との姿勢。ことに安倍総理のお墨付きである「関西は戦略特区指定から外せない」発言を契機に「関西が日本経済を牽引する」意気込みがみなぎり始めている。

「関西に財界はあるのか」を「ある」ことの証明に政財界が一体となって、関西から新しい変革を実践すべき時期は、まさに「今でしょ」と言えるのではないか。

大和ハウス工業

大和ハウス工業

ダイキン工業

ダイキン工業

 昭和30年中ごろから、日銀首脳が関西経済を見直し、当時の日銀総裁が「景気は西から」と発言する機会が増えた。家電製品を手掛ける松下電器(現パナソニック)、パナソニックに吸収合併された旧三洋電機、それに早川電機(現シャープ)、医薬品、住宅産業が急成長を遂げた時代である。さらに「衣食住」のうち、衣の繊維産業は化学部門で成長し、食の分野では、日清食品が即席ラーメンを皮切りに成長、中小企業から大企業に成長する。

 しかし、時代の変遷で〝王国〟と呼ばれた繊維、造船、エレクトロニクス業界などは、後発の中国、韓国などに技術指導した結果、その地位を逆転された。卑近な事例はシャープだろう。台湾企業に振り回され、この1〜2年の低迷振りは信じがたい。特に、金融界の最大手、三井住友銀行の場合、融資先企業がパナソニック、シャープ、住友金属工業の3社。だから、本社機能を大阪に置いていた。ところが、住金が新日鉄に合併され、シャープ、次いでパナソニックが大幅赤字に見舞われた時「いよいよ、本拠を東京に移さねば」(某銀行首脳)という、弱音を発している。

 が、過日の財界セミナーでこの人物は第3分科会「日本式経営によるものづくりの復権」の議長を務め、変化の時代の日本式経営で多弁を弄した。明らかにパナソニック、シャープの業績回復に対する〝やれやれ感〟

である。

 京都・宝ヶ池の国際会議場で開催された今回の財界セミナーは、議題のほかにきわめて話題が豊富であった。

大阪証券取引所

大阪証券取引所

 サントリーの1兆6千億円もの企業買収(アメリカのジム・ビーム)、H2Oによるスーパー大手・イズミヤ統合劇、さらに神戸にある理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの30歳の女性・小保方晴子さんが、万能細胞「STAP細胞」の作製に成功、世界にその名を知られ、まさに日本の存在感を示した事実である。

 関西の企業人にとって誇らしいこの話題は、財界セミナーに集う経済人に大いなる刺激を与えたといえるだろう。

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