政治・経済

高速道路のルール変更案①追い越し車線に最低速度制限を設ける

 少し前に古屋圭司・国家公安委員長が交通速度規制の現状について疑問を呈したことがありましたが、今回は高速道路のルールについてモノ申したいと思います。

 今年の夏も、行楽地に出掛けて渋滞に巻き込まれた人がたくさんいることでしょう。まず、日本の高速道路の問題点は、速度規制が現実に全く見合っていないことです。制限速度80㌔と表示されていても守っている人はほとんどいないし、実際にその速度で走ったら全く効率が良くありません。建前のルールと本質的なルールの違いがよく分からない設定になっているので、一度完全に見直したほうがよいと思うのです。

 例えば、道路交通法上は、追い越し車線は追い越し時にだけ走行するものとなっているはずですが、実際には厳密に守られていません。3車線ある場合、普段運転に慣れていないドライバーが追い越し車線を走っていたりすると、そこが一番混み合って、一番左の一般車線が空いていたりするケースが多々見られます。つまり、高速道路の有効利用ができていないということです。

 渋滞の原因の多くは、上り坂などで速度がキープできない車がいることなので、そうした車はできるだけ左側車線を走るように運用しないと、せっかく3車線設けてもすぐに詰まってしまいます。

 そこで、3車線ある場合の追い越し車線は「最低速度制限がある車線」に変えてはどうでしょうか。その車線では巡航速度を100㌔以上に設定し、原則的にトラックなどの大型車や、軽自動車、オートバイなどを通行不可にします。そうすることで、乗用車を中心とした高速走行が可能な車が整然と100㌔以上で走ることになり、健全な状態になるのではないかと思います。

 一方で、最高速度と最低速度の見直しをきちんと行って、新しく決まった最高速度を上回った場合は、厳しく摘発していきます。もちろん、捕まえること自体を目標にするのではありません

 「80㌔制限なら大体100キロくらいまで大丈夫かな」といった曖昧な判断が通用しないようにするのです。これで随分と渋滞は解消できると思います。事故が発生しやすいのはむしろ低速走行の時なので、案外、速度制限そのものをなくしてもうまくいくかもしれません。

高速道路のルール変更案②カープールレーン制度の採用

 次に、東京など大都市周辺の高速道路に関しては、米国でカリフォルニアなど人口が多い州において導入されているカープールレーン制度の採用を提案します。

 プールレーンを走行する場合は1台の車に2人以上が乗っていなければならないという仕組みで、業務用の車に1人で乗っているような場合は、そのレーンを走れないというものです。このやり方は米国では広く受け入れられています。

 カープールはもともと社会全体の燃料効率を向上させる目的で設けている制度で、例えばプリウスのようなハイブリッド車は運転者が1人で乗っていてもOKといった例外措置が設けられています。違反者の摘発も厳しく行われているので、ルールは厳しく守られています。連休期間中はもちろんですが、平日でも上り坂など渋滞が発生しやすい区間で同制度の採用を検討してはどうでしょうか。

 また、ワシントンDCのダレス空港に行く道では、かなり手前から空港に向かう車専用の走行レーンが設けられていて、一度レーンに乗ってしまうとなかなか降りられません。だから空港へのアクセスは非常にスムーズです。日本でも成田空港に向かう道はすぐ渋滞するので、同じようにできないものかと思います。

 東京は非常に公共交通網が発達していますが、都心に乗り入れる車の多くが1人乗りの乗用車であるということが分かっています。効率性を高めるためには、大都市においては車の保有コストを高くして、公共交通機関を利用したほうが得になるということを、もっとアピールしていくべきです。

 自動車業界は反対するかもしれませんが、今や自動車産業の日本市場依存度はどんどん減っているので、国全体として考えればそのほうがいいでしょう。

 シンガポールやロンドンといった大都市では、都心部に自動車で乗り入れるための許可証が有料だったりします。このように世界各地で行われている車の乗り入れ制限を、東京こそが最も真剣に検討しなければいけない時期に来ているのではないでしょうか。

 日本はエネルギーを他国に大きく依存しているからこそ、自動車の効率的な走行に関して最先進国であるべきだと思います。

 

夏野剛氏の記事はこちら

 

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る