政治・経済

2014年の株式市場はどうなっていくのか。BNPパリバ証券は14年の注目ポイントを指摘するセミナーを開催。同社株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏が外国人投資家の見立てを中心にマーケットの相場観を語った。

外国人投資家は日本株を積極的に買う動き

BNPパリバ証券 株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏

BNPパリバ証券 株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏

 基本的に日本株は強気だ。しかし外国人投資家の目線では、2013年のユーフォリア状態と比べると少し現実的になっている。

 特に何が現実的になっているのかと言うと、ほとんどの投資家がもう「アベノミクスは何なのか」という質問をしなくなった。彼らはアベノミクスの本質を完全に理解している。何が本質かと言うと、成長戦略は何も出てこないだろうということだ。外国人投資家は、「成長戦略はそもそもないし、出てこないだろう」という現実的な見方をしている。

 ではなぜ日本株は強気なのかと言うと、基本的には財政出動と日銀の緩和継続によるリフレ政策がある。要はマネタイゼーションだが、こういったマネタイゼーションが必要な理由は、安倍晋三首相の政治的なアンビションを達成することにある。そのためには、株価も上げなければいけないし、景気も良くする必要があり、そして日銀が出てきて財政出動もする。その一方で、リスクアセットはまだ上がる余地がある。このため、非常に冷めた見方ではあるが、リスクアセットとしての株はまだ値上げの余地がある。

 言い方を変えると、来年以降、15年、16年と、いつまでも財政出動を続けるわけではない。そういった施策が途絶えた後に、潜在成長率を引き上げるような政策がなされていないことは、日本にとって非常に残念だと思う。しかし少なくとも外国人投資家は、日本政府が採っているマネタイゼーションの政策に対して、日本株を買っていこうという見方をしている。

 日経平均株価は1万5千円が恐らくボトムで、1万8千円が年央に向けて目指せるポイントだと思っている。

 われわれもそうだが、外国人投資家が注目しているキャタリストが2つある。

 ひとつは日銀。基本的に消費増税の後なのか、前なのかという議論はあるが、消費増税に対する日銀の動きが注目されている。基本的にコアコアのインフレ0・8〜0・9%が4月時点での物価見通しになると思う。増税分は2%なので、日銀がもう一度動かざるを得ないだろうというのがコンセンサスだ。逆に言うと、コアコアで0・8〜0・9%の物価水準でありながら、日銀が動かないとなると、一転して外国人投資家が売ってくることも予想される。こうしたことから、4月以降の日銀の対応に外国人投資家は注目していると思う。

 2つめはGPIF(年金積立金運用管理独立行政法人)。GPIFに関しては、今年、国内の日本人投資家が日本株を買い越しに転じるかどうか。昨年もそうだが、圧倒的に多い外国人投資家の買い越しに対して、日本人投資家はまだ売り越しの状態だ。日本人投資家が日本株を買い始めてくるかどうかは、バリエーションをする上で重要になってくる。要は外国人投資家が買っているうちは、バリエーションは国際比較なので、おかしなバリエーションにはならない。しかし日本人投資家が買い始めるとバリエーションは常に切り上がっていく。

 自国の投資家が自国の株を本当に買い始めるかどうかという意味で、GPIFをはじめとする年金が本当に改革してリスクアセットを持てるかどうかに注目が集まってくるだろう。そういうことを含めて、GPIFの改革が2つめのポイントになる。最終的に政府がどういう結論を出すかが注目されている。

テールリスクとして円安が止まらない可能性

 あとはリスクシナリオとして、外国人投資家が注目しているのは、円安が止まらなくなるという危険があることだ。昨秋の臨時国会もそうだったが、昨年末から1月にかけて、安倍首相が使った時間のほとんどがアベノミクス以外のアイテムだった。特に円安に関しては、安倍政権の支持率が下がってくる中で原発の再稼働ができない。原発の再稼働ができないことによって、基本的に財政収支、経常収支は悪化し続けるだろう。これでまた日銀が登場すると、円安がさらに加速する可能性があり、経常収支が悪化する。

 結局、円安になっても、稼げない輸出企業が今年は明らかになってくる。要は、円安で売り上げは出るが、それ以上に円安でコストが上がってしまう。「円安だけれども、日本があまり稼げない国になってきているのではないか」ということが露呈するリスクを外国人投資家は指摘してきている。

 円安が日本の経済再生に対してポジティブに働いていたフェーズから、円安が日本にとって逆風になるフェーズに変わるのが、1㌦=120〜130円の水準だと思う。そこから一気に加速した場合、15年から16年にかけて1㌦=140〜150円へと円安が止まらなくなるだろう。

 これは1つのテールリスクとして見ている。なぜ円安がテールリスクかと言えば、円が安くなれば、どこかのタイミングでやはり金利にも上昇圧力がかかる。そこで本当に日銀が市場と戦えるのかという話になってくる。これは14年のストーリーというよりは、15年や16年のストーリーだが、テールリスクとして、円安が止まらなくなる可能性は常に指摘しておきたいと思う。

 このため、アナリストの推奨も、必ずしも円安だから輸出企業は買いというよりは、輸出企業で円安の恩恵を被るとマーケットは思っているが、よくよく見てみると、そんなに恩恵を被らない銘柄はきっとあるはずで、こういう銘柄が売りの対象になる。

 昨年の「円安、日銀、アベノミクス、全銘柄買い」という相場から、選別色を強めていくことが非常に大事な1年になると思っている。そういう意味では、今年はアナリストの腕の見せ所になる。

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