政治・経済

 1月25日のアルゼンチンの通貨危機以降、株式市場、為替市場ともに荒れているが、気にしてはいけない。これらは何の意味もない。なぜなら、金融市場の時代は終わったからだ。

 理由は4つ。まず、アルゼンチンの危機自体が世界に衝撃を与えるものでない。実はアルゼンチンの危機は本物だ。財政破綻の可能性は高いし、通貨はとことん減価し、インフレは止まらないだろう。しかし、2002年のアルゼンチン危機と違うのは、皆がこれを予期していたことだ。海外からの投資はほとんど入っていないから、逃げ出すこともなく、一番関係の深いスペインの銀行セクターですら、ポートフォリオの3%で、致命的なダメージを国際金融市場に銀行経由で与えることはないだろう。

 第2の理由は今回の暴落が金融市場の都合で起きているからだ。本気の下落ではなく、本気の危機でもパニックでもない。昨年末に上がり過ぎていたから、あるいはそこで買った間抜けな投資家が多くいるから、そこを狙われただけだ。世の中ではほとんど何も起きていない。起きているのは、金融市場の乱高下だけだ。

 しかし、今回重要なのは、第3と第4の理由だ。今回のアルゼンチンの危機、新興国の通貨危機が世界的な危機にならない第3の理由は、新興国の対応が進歩したからである。

 インドでは、ラジャンという経済学者が中央銀行を司り、金利を引き上げて対抗し、タイも基本的にはタフなスタンスを取り、今回もトルコ中央銀行は、投資家たちの予想を大きく上回る金利大幅引き上げで、通貨下落に対抗した。何よりもまず自国通貨の価値を維持する。これが経済政策の基本中の基本であることを、パリバショック、リーマンショックで新興国は学んだのだ。だから、アイルランドはGDPのマイナス成長や失業率は恐ろしいほどだったが、財政再建および通貨価値維持により、何とか回復したのだ。

 第4の理由は、より深遠というより、根本的で、かつ単純だ。金融市場の力がなくなったのである。主従関係は完全に逆転した。金融市場の危機が伝播する理由は2つ。銀行が介在することと、投資家や世の中が危機に動揺することだ。この理由は現在存在しない。

 まず、英米を中心に、リーマンショック後、銀行規制を再度強化したこと。もう1つは、世間も、ようやく金融市場の愚かさ、いや、それに振り回されることの愚かさに気付いたのだ。

 今年の金融市場の混乱は静観すればよい。

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