政治・経済

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が目標の年内妥結に向け、大詰めを迎えている。日米など参加12カ国は11月中旬からの首席交渉官会合や、12月にシンガポールで開く閣僚会合での合意を目指す。だが、米国と新興国の対立の構図は世界貿易機関(WTO)時代から変わらず、経済産業省内では最後まで議論がもつれ、暗礁に乗り上げたと新多角的交渉(ドーハラウンド)の二の舞を懸念する声が上がっている。

「頂上が近いというのはあまりにも楽観的。やっと本格的なレース(議論)に入るスタート地点についた」。大江博首席交渉官代理は10月28日、日本で初めて開かれた「知的財産」分野の中間会合の最終日を迎え、こう語った。

 12カ国は10~11月に知的財産や国有企業改革など協議が難航する分野の作業部会を相次いで開き、調整を本格化。首席交渉官会合までに難航分野の論点を極力絞り込み、大きな論点について「政治決断」を閣僚会合に託すシナリオを描いていた。

 だが、日本が議長国を務めた知財は、新薬の特許をめぐり、製薬企業を抱える米国が延長を提案したのに対し、マレーシアなどがジェネリック医薬品(後発薬)への影響を懸念して反発し、「最後まで妥協点を見いだせなかった」(交渉筋)。

 このため12月3~6日にインドネシア・バリ島で開かれるWTO公式閣僚会合後に併せて、予定されるTPP閣僚会合は「延長も想定されるので、7日以降の開催が確実」(経産省幹部)。 実際、合意寸前だった2008年7月のWTO非公式閣僚会合は1週間以上開かれ、夜を徹した議論を続けたが決裂している。

 その際の日本からの参加閣僚の1人は、当時の経産相だった甘利明・現TPP担当相。経産省幹部は「甘利さんも巡り合わせがいいのか悪いのか。今度こそ合意させてほしい」とWTOの悪夢の払拭に淡い期待を寄せている。

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