文化・ライフ

 フィギュアやプラモデルなどのホビー商品は、興味のない人にとってはおもちゃという認識かもしれないが、一部のコレクターや愛好者にとっては芸術品のひとつである。しかも、日本製品のクオリティーの高さはつとに海外でも知られており、外国人観光客の隠れた日本のおみやげでもあるのだ。

「日本人より日本を知っている」といわれる広島県出身のカナダ人ゲスト、ロバート・ボールドウィンさんもフィギュアの愛好家のひとり。日本製品の技術の高さを絶賛する。ロバートさんは、「日本のフィギュアを見ていて、この精巧な技術の源流には仏像がある」と持論を述べる。

 近年では3Dプリンターが普及し、フィギュアだけでなくその背景など、世界観も一緒に再現するジオラマも発達、機械の細微な部分も精巧に再現できるようになった。

 さらに、今人気なのが自分のフィギュアを作成すること。こちらも3Dプリンターを利用することで簡単に10分の1サイズのもうひとりの自分が完成する。お値段は1体8万円程度で、結婚式の記念や子どもの成長に合わせてつくる人も多いのだそうだ。他にも立体的に釣果を誇れる「3D魚拓」なるものも人気急上昇だ。

 さて、フィギュアの聖地が秋葉原ならば、もうひとつのホビー文化の柱、プラモデルの聖地が静岡だ。

 東京から新幹線で1時間、静岡駅でおみやげを探していると、名産のサクラエビやお茶と共にプラモデルが並ぶ。

 意外と知られていないが、静岡のプラモデル生産は、国内で4分の3と高いシェアを誇る。そのルーツは戦前、静岡で軍用機試作のための木製模型がつくられていたことにある。

 しかし、一時期に比べプラモデルを楽しむ子どもの数も減っている。そこで立ち上がったのが焼津市にある老舗メーカーの「ハセガワ」だ。子どもたちにもっと楽しんでもらおうと重要視したのは、つくる楽しさだけでなく、知る喜び。例えば、サイエンスワールドシリーズには、無人宇宙探査機ボイジャーやしんかい6500などがある。中を開けるとプラモデルの部品だけではなく、その部品がどのように役立ち、どんな意味や機能があるかなど科学の先端技術を学ぶことが可能になるのだ。この精緻さを再現できるのがハセガワの技術力の賜物だ。徹底的に細部にこだわる製品作りの背後には古い戦闘機の設計図や、整備の手順など、博物館に負けない膨大な情報量が技術を支えている。

 この取組みが話題になり、今では小中学校からプラモデル体験会の依頼があるそうだ。

 ロバートさんも、プラモデルをつくりながら学ぶ授業に興味津々。また、日本のホビーと海外のホビーの精密さの違いについて熱く語った。

 さて、そのロバートさんが子どもの頃にはまったのが、ガンダムのプラモデルだ。通称「ガンプラ」の工場見学は、倍率何と40倍で海外の人からも申し込みが殺到しているという。

 番組ではバンダイの静岡工場内に潜入し、本物のガンダムをつくるように製造する現場に密着する。戦前からの蓄積された技術と志が、静岡を「模型の世界首都」にしているようだ。

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年9月号
[特集]
この夏飲みたい日本の酒

  • ・総論 量から質へ“こだわり”が求められる時代へ
  • ・埼玉・秩父から世界一へ イチローズモルトの奇跡
  • ・家庭でも酒場でもレモンサワーが飲まれる理由
  • ・幕末からよみがえった都心の酒蔵 東京港酒造
  • ・本間哲朗(アプライアンス社社長)
  • ・伊豆で愉しむ野趣なワインと夏の富士
  • ・トップが薦めるこの夏のビール

[Special Interview]

 宮内義彦(オリックス シニア・チェアマン)

 「トップの器以上に会社は大きくならない」

[NEWS REPORT]

◆ヨーロッパに続け! 動き始めた日本の再エネ事業

◆東芝のPC事業を買収し8年ぶりに参入するシャープの勝算

◆日産―ルノー経営統合問題に苦慮するカルロス・ゴーン

◆大阪がエンタメで仕掛けるインバウンドと夜の経済

働きがいのある会社を総力取材

 人材育成企業20

 企業の成長戦略をクローズアップ

ページ上部へ戻る