政治・経済

 今回で連載は終了なので、最も重要な貨幣の話をしよう。

 ビットコインが話題を集めているが、あれは貨幣であり同時にバブルである。

 貨幣とは何か。普通は3つの要素で定義される。第一に価値尺度、第二に決済手段、第三に価値保蔵手段である。

 ここでは、政府が通貨と認めていようがいまいが関係ない。いわゆる法定通貨であることは、第一と第二の要素を生み出すきっかけにはなるが、きっかけにすぎない。かつて貨幣として使われていた貝殻や羽根が珍しく貴重であることがきっかけであったのと同じことだ。これは貨幣理論の世界一の大家、岩井克人氏の理論で有名なように「貨幣は貨幣であるから貨幣である」。人々が貨幣とみなし、貨幣として使えばそれは貨幣となる。その結果、価値尺度として使われ、決済手段として使われることになるが、因果関係は逆ではないのである。

 ただし、自己循環議論であるから、価値尺度となり決済手段となれば、人々はさらに貨幣を貨幣として使う理由が増えるから、ますます、貨幣は貨幣となるのである。したがって、ビットコインは、ある一定のコミュニティーにおいて、貨幣とみなされれば、貨幣として使われ、それは自己循環的に貨幣であり続けるのである。しかし、貨幣がバブルになるのはおかしいのではないか。価値尺度足り得ないではないか。という議論になろう。

 その議論も、もともと3つの要素の定義も間違いなのだ。貨幣は貨幣であるから貨幣である、それ以上でもそれ以下でもなく、岩井克人理論に尽きる。

 ここからは小幡理論であるが、貨幣は人々が受け入れるから貨幣となるのであり、これは投資あるいは投機と同一である。人々が「受け入れる」つまり「買う」ことがなければ、貨幣も投資も成り立たない。金融商品に投資したら売らなくては利益を出せない。したがって、金融商品への投資(投機と呼んでもよい)と貨幣を保有することは同一であり、貨幣の自己循環理論とは、金融商品のバブル理論と同じある。金融商品は他の投資家に買われる価格だけで価値が決まる。貨幣は受け取ってもらえるか否かで価値が決まる。そして、この自己循環理論の結末は何もない。つまり、人々が受け入れる、買うのを止めることによって、価値はゼロになる。バブルは崩壊するのである。

 貨幣とは金融商品そのものであり、ビットコインはチューリップや18世紀のサウスシーバブルにおける株式に近い金融商品であり貨幣であるのである。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

リーマンショック後の2010年にスタートした柳前社長時代は大幅な合理化や新興国戦略を推進。経営改革に道をつけ、17年度は過去最高益を更新した。日髙新社長は、事業企画・経営企画や2輪事業の経験と豊富な海外経験を買われてバトンを受けた。売上高の約9割を海外が占めるヤマハ発動機のトップとして、改革路線を継続しつつ成…

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年11月号
[特集]
大丈夫? 御社の危機管理

  • ・サイバーセキュリティ後進国日本の個人情報流出事件簿
  • ・「リアル」「バーチャル」双方で企業を守るセコムとアルソック
  • ・南海トラフ地震、首都直下型地震は、今そこにある危機
  • ・「いつ来るか分からない」では済まされない──中小企業の事業継続計画
  • ・黒部市に本社機能の一部を移転したBCPともう一つの狙い(YKKグループ)
  • ・高まる危機管理広報の重要性 平時の対応がカギを握る

[Special Interview]

 大谷裕明(YKK社長)

 「企業の姿勢や行動が危機対策以上の備えになる」

[NEWS REPORT]

◆胆振東部地震で分かった観光立国ニッポンの課題

◆M&Aでさらなる成長を期すルネサスの勢いは本物か

◆トヨタは2割増、スズキは撤退 中国自動車市場の明暗

◆このままでは2月に資金ショート 崖っぷち大塚家具「再生のシナリオ」

[特集2]

 利益を伸ばす健康経営

ページ上部へ戻る