テクノロジー

 米国の特許技術によって開発された、世界初の機能性繊維の商品が日本に登場した。製造販売を手掛けるのは中国・青島に本拠を構えるレイズ・インターナショナル(李永紅CEO)。2013年8月には第1弾として生地の温度を下げる冷感メカニズムのタオルを発売、今年から本格的に日本市場で攻勢をかける。その戦略を同社CEOの李永紅氏に聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

機能性繊維商品で世界を狙うレイズ・インターナショナル

李 永紅 レイズ・インターナショナルCEO

李 永紅 レイズ・インターナショナルCEO

 日本のアパレル・スポーツ衣料品市場にまたひとつ、新勢力が誕生した。従来の製品は、ファッション性を重視した見た目や着心地などが重視されたが、これだけでは、もはやモノ足りないと感じた人も多いのではないか。そこで近年、機能性繊維という存在が注目され、肌着などを中心に伸びてきた。

 そうした市場の変化に伴って、各社はより高機能の製品開発に躍起となっているが、レイズ・インターナショナルは世界最高峰の米国の特許技術を元にした商品で、日本市場に打って出る。その中核となる機能性繊維は「COOLCORE(クールコア)」、「SolarStar(ソーラースター)」そして「CELLIANT(セリアント)」の3つ。

 まず、「COOLCORE」とは吸水、保水、蒸発の3つの役割を単層生地に集約した、世界初の冷感メカニズムテクノロジーが生かされている。水分を含んだ生地が肌との摩擦や外気に触れることにより、保水された水分が振動し、効果的な気化熱を発生させる。気化熱によって、生地の温度は外気温より約20%から30%(※1)低下することは既に実証されている。長時間の冷感を維持できるのでスポーツやアウトドア、レジャーシーン、それに外仕事には打ってつけだ。

 また「SolarStar」は、それとは逆に、十字構造の繊維を使用した素材で、今までにない温度上昇が可能な発熱繊維。そして「CELLIANT」とは、米国のHologenix社が開発したテクノロジーファイバーで、13種類のミネラルをポリエステルに注入し、着る人の体内酸素レベルを平均で約7%程度(※2)高めるといわれている画期的なものである。

 レイズ・インターナショナルは、中国に本拠地を構えながら世界市場を見据えた事業展開するグローバル企業である。事業内容は、今回取り上げた特許繊維製品の製造・販売のほかに、国内外のタレントマネジメント業務、アニメーション制作、キャラクター商品の企画開発など、多岐にわたる。さらなる事業の拡大を目指している同社CEOの李永紅氏に、今後の対日戦略を聞いた。

李永紅氏は語る コンセプトは「健康、エコロジー、ハーモニー」

-- 御社の事業内容をお聞かせください。

 もともとは、貿易をメーンにしており、取り扱い商品はOEMによる委託加工が中心でしたが、現在はOEMだけではなく、機能性繊維を使った新しい切り口で人々の健康に貢献できる商品開発をし、提供していこうと考えています。

-- 特殊な機能性繊維の技術は自社で開発されたのでしょうか?

 繊維そのものは基本的に米国で特許取得されており、それらの特許繊維を当社が独自の混用率で生地に仕上げ、より効果的に機能を発揮できるように製品化しています。世界中から最先端の素材、技術を見付けだして、その特許を購入する、あるいはライセンスを取得しています。

世界初の機能性繊維商品「冷感メカニズムタオル」

世界初の機能性繊維商品「冷感メカニズムタオル」

-- 現在の主力商品は何ですか。

 メーンとなる技術は3つです。まず、「COOLCORE」。これは特殊な3種類の糸を独自の編み方で仕上げた生地で、気化熱によって生地温度を下げる「吸水」「保水」「蒸発」の3つの役割を単層で実現しました。一番の特徴は着用者の汗の水分でも効果的な気化熱を発生させ、温度を下げることが可能で、用途としてはスポーツアパレルがメーンとなります。現在のところはスポーツタオルとして商品化しています。タオルとして使用していただけることでCOOLCORE本来の機能性を理解していただきその上で、他のアパレルにも展開していきたいと考えています。

 2つめに「SolarStar」があります。これはCOOLCOREとは逆に、温かくなる生地です。太陽光をはじめとする光に反応して熱に変換する機能を持っています。用途としてはキャンプや登山などのアウトドアユースを想定しています。ほかにもアウターアパレルとしてさまざまな活用法があると思っています。

-- 従来の機能性繊維に比べて、より高い効果が期待できそうですね。そのほかはどうですか。

 3つめが、「CELLIANT」という米国の特許繊維ですが、この繊維は、生地に二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどが含まれる13種類のミネラルを繊維に注入しており、着用者の体内酸素濃度を約7%高める効果があるといわれています。同繊維を採用し「より快適に、より健康に」をテーマに寝具やインナーウエア、ホームウエアを展開していきます。

 以上の3つの機能性繊維は、人々の生活や活動シーンに応じ次世代を支える繊維として広がりをみせると確信しています。 そして今期新たに当社では、これらの機能繊維を中心に採用した「Reyslee(レイズリー)」というトータルライフサポートブランドを「健康、エコロジー、ハーモニー」をコンセプトに立ち上げ展開していく予定です。

李永紅氏の思惑 日本市場で成功すれば アジアや世界で通用する

-- 現在、日本のアパレル市場は低価格のファストファッションに人気がありますが機能性製品の市場性をどう見ていますか。

 確かにファストファッションは人気がありますが、一方で機能性生地のニーズも高いと思っています。近い将来、多くの人が、個々のライフシーンに合ったファッション性を兼ね備えた機能性アパレル製品を着るようになると思っています。

-- 生地の生産はどこで行っているのでしょうか。

 「COOLCORE」はすべて米国で生産されています。「CELLIANT」は米国の特許ですが、当社がそのライセンスを取得して、中国や韓国、台湾などで生産しています。縫製などの製品化は中国にある日本企業の工場などで生産しています。

-- 世界市場の中で、メーンと考えるターゲットはどの地域でしょうか。

 まずはアジア圏がメーンです。中でも日本、韓国、中国。日本には2年前に日本法人を設立し(※3)準備してきました。

-- 日本市場は品質への要望が高く、参入が難しいといわれています。

 逆に言えば日本水準で認められれば、世界のどこに行っても通用するということです。今、当社がアジアで展開する商品も、すべて日本市場で認められる基準を保っていると確信しています。

-- 13年8月に、販売を開始しましたが、反響は。

 おおむね、好調です。米国では(野球の)メジャーリーグや(プロバスケットの)NBAの選手が使用しており、また建築現場など、外で働く人たちの間で多く使用されているという話も聞いています。日本でもこれから認知度が高まるにつれて、さらなる広がりをみせていくと思っています。

-- 今後の展望は?

 「make a wave」という企業理念が根幹にあります。いまの夢は、店頭に並ぶアパレルがすべて当社の機能性生地でできたものになっていることです。そのためにも、現在の3つの繊維(生地)だけではなく、少なくとも30以上の異なる特徴をもった機能性生地を開発し、商品化していきたいと思っています。

 

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