政治・経済

飽和するカード市場で勝てる仕組みを構築

-- 今年1年を振り返って。

「カード革命がこれから起きる」と語る林野宏・クレディセゾン社長

「カード革命がこれから起きる」と語る林野宏・クレディセゾン社長

林野 カード業界は、ここ数年、改正貸金業法、割賦販売法、過払い金問題などを通じて壊滅的な打撃を受けましたが、今年になってようやくその傷が癒えたと思います。当社のような流通系カード会社のほか、銀行系、信販系カードの3つのジャンルで競争してきましたが、キャッシングに依存していた会社の多くは法改正の逆風を乗り越えられず、結局メガバンクの傘下に入りました。
 当社では私が社長に就任した年から、キャッシングの金利を段階的に下げ、2000年で既に年利24%まで下げていたので、それが生き残れた1つの理由です。われわれの業績のピークは06年度で、その後は法改正の影響が避けられませんでしたが、それからちょうど7年でボトムアウトした形になりました。
-- どのように乗り切ったのですか。
林野 その時に考えたのは、単品に依存するのは危険だということです。当社の売り上げ構成は、クレジットカードへの依存率が8割以上だったので、それはやめようと。以前から取り組んできたノンバンク化をさらに進めることにしました。
 法改正は逆風でしたが、消費者金融や銀行などの貸し出しがすごくシビアになり、貸し手がいなくなったため、多角化によって収益基盤を拡大していたわれわれにとっては追い風になりました。消費者金融などの貸し手が減る中、信用保証業務やリース事業を伸ばすことができました。クレジットカード事業を中核に据えるのは変わりませんが、ビジネスのやり方はかなり変わったということです。そのためのさまざまな施策を13年度上期までに打つことができました。下期にそれらを実行し、着実に数字に変わっていくと見ています。
-- クレジットカード事業の比率は将来どうなるのでしょうか。
林野 これまでのカード事業は将来的には構成比率でいうと全体の3分の1くらいになるでしょう。ポートフォリオ上ではそれぐらいがちょうどいいと思います。これまで、カードビジネスは主にコンシューマークレジットサービスでしたが、今後はスモールビジネスの決済手段などに使われるようになるのではないかと見ています。中小企業などが決済を口座振り込みではなくカードで行うようになれば、使用額は10〜20倍になります。限度枠も拡大するので、貸し手が減っている今、企業にとっては無利息融資の代わりになり、資金繰りに役立てることができます。これからはユーザーが法人カードと個人カードを両方持つケースが増えると考えられるため、そこにある種のカードの革命が起きると思っているのです。カード市場は飽和してきているので、そこで勝てる仕組みを入れていこうということです。
 企業が多国籍化して決済システムが複雑化するほど、カードの利便性が際立つでしょう。また、日本の会社は管理部門に膨大なコストが掛かっていますが、カードを使えば経費の管理もきちんとできるようになります。あらゆる場面で現金をなるべく扱いたくないというニーズが増えていて、社会はキャッシュレスを希望している。ビジネスの形態が大きく変わるので、今までとは全く違うマーケットの様相が見えてくるのです。

ステータスと豊富なサービスを武器に

-- 提携しているAMEXカードの戦略について。
林野 日本の富裕層で一番多いのは60歳以上の高齢者です。この層はお金は持っているけど、あまり使いたがらない傾向があります。しかし、会社を定年退職した後は社会的ステータスがなくなるという点で不満を感じている方々が多くいます。男性だけでなく、その奥さま方は、百貨店で買い物する時などに、何となく特別待遇を受けたいという欲求があります。この他にも、例えばIT起業家やエンジニアなど、高収入なのに何となくステータスが低いと感じている層に、クレジットカードでステータスを感じてもらいたいと思っています。
 私はクレジットカードの中で本当にブランド力があるのはAMEXしかないと思っています。ほかはいかにゴールドカードでも、AMEXほどのステータスはありません。銀行系カードも信販系カードも、AMEXほどのブランド力はないでしょう。周囲の人が羨望するようなカードですが、AMEXはすごく高い。例えば、プラチナカードの年会費が13万6500円、ゴールドカードが2万7300円します。当社のセゾンプラチナアメリカンエキスプレスカードは2万1千円、ゴールドが1万500円で、それでステータスを感じていただくことができる。家族カードにすれば、ご家族は年間3150円でプラチナカードが持てるし、ゴールドカードだと1050円。1日約10円の支払いでステータスが持てるとなると安いですよね。
 例えば髙島屋さんでポイント10倍キャンペーンなどをやると、髙島屋さんの本来の客層以外の方々が来店します。通常、高級ブランドは百貨店では割引しないものですが、ポイントを付けることによって実質割引と同じになります。また、コナミスポーツでは月会費の割引幅が大きく、1年間でプラチナカードの会費の元が取れてしまいます。お客さまは敏感ですから、こうしたやり方で、良いお客さまを数多く当社のカードユーザーにしていきたいと考えています。
-- 今後の目標は。
林野 私は、世界のクレジットビジネスを変えたいと思っています。日本におけるシェアも、当然変えてしまいたい。カードに対する人々の価値観も変える。それが今後のテーマです。

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