文化・ライフ

 この新連載では、各界で活躍するゲストをお招きし、陽光が降り注ぐような心温まるお話を伺っていきます。初回のゲストは、同い年である友人・野田聖子さんです。同じ時代を生きてきた聖子さんは、政治家として活動しながら、やんちゃ盛りの3歳児の母でもあります。政治家としてキャリアを築くきっかけとなったエピソードや、不妊治療や出産の経験をとおして感じた想いを語っていただきました。

野田聖子の経歴「岐阜からの熱い電話が始まり」

野田聖子
のだ・せいこ──自由民主党総務会長・衆議院議員
1960年福岡県生まれ。上智大学外国学部比較文化学科を卒業し、帝国ホテルに入社。1987年岐阜県議会議員選挙に当選。1993年衆議院議員総選挙で初当選。1998年郵政大臣、2008年内閣府特命担当大臣を経て、現在7期目。

佐藤 私たちの世代は、学生時代に女子大生ブームが到来し、OLになって寿退社することが「勝ち組女子」と言われた最後の年代です。寿退社に憧れる人が多い中、聖子先生は20代で政治家となったわけですが、若くして国のために働こうと決断したときのことを教えていただけますか。

野田 県議会議員を経て政治生活28年になりますが、今でも溶け込めていません。その理由は、自ら政治を志したというよりも、祖父(野田卯一元衆議院議員)の後援会の方たちに祖父が落選した償いのために県議会議員になれといわれ政治家になったからだと思っています。ちょっと異質でしょ(笑)。

佐藤 確かに珍しいですね。

野田 祖父は国会議員でしたが、私が成人する頃は既にリタイアしていました。25歳のOLだった私のもとにあるとき、祖父の後援会の方から電話がかかってきました。熱く語り掛けられたのですが、岐阜弁で何を言っているか分からなかったんです。

佐藤 (笑)。

野田 「おまはんしかおらん(おまえしかいない)」と口説かれました。会ったこともない後援会のおじさんの一途な言葉にキュンと、心を動かされました。そしてその後、いきなり選挙!

佐藤 用意周到なスタートではなかった。

野田 選挙のことなど何も分からないし、私なりの政治家像もありませんでした。ゼロからのスタートだったことが長続きしている理由かもしれません。

佐藤 気張っていなかったんですね。また、業界の常識を知らないがゆえに、真っすぐでいられるんですね。

野田 そうかもしれません。政治家の仕事は、国民の声を聞くことに尽きるのだと思っています。でも、職業として政治家になりきれていないからこの仕事を続けていられるのかもしれません。

今までの経歴から学んだこと「第二の野田聖子をつくらせない」

野田 一番辛かったのは、少子化で子どもを産み育てようという気運の中で産んだことをバッシングされたことです。私は何を言われてもかまわないけれど、そういう十字架を背負って産まれた息子がかわいそう……。

佐藤 子どもには罪はありませんから。

野田 でも、息子との時間は格別です。息子の笑顔がすべてを解決してくれます。人はいろいろ言うけれど、何もしてはくれませんから、「まあいいや」と雑音は気にしないようにしています(笑)。しかし、これから出産を望む若い人たちを私のような目にあわせてはいけないとも思います。

佐藤 聖子先生の体験から不妊治療に関する助成もできましたね。

野田 私たちの時代は、女性が社会で活躍することを応援する制度はほとんどありませんでした。女性の健康管理も国は大して面倒みてくれなかった。その副産物が私だと思っています。若い女性たちには、産みたい時に産み、子育てもしながら、キャリアを失わないライフスタイルを送ってもらいたいです。

佐藤 女性が生きやすい時代になってきたとはいえ、政治的にもまだまだ調整するべきことはたくさんありますね。

野田 次世代の女性たちには、結婚、出産によってキャリアを失うことなく働き続けることが普通と思える環境を残してあげたいです。「第二の野田聖子」をつくらないためにもね。

野田聖子氏が子育てをして気付いた支援策の違和感

野田聖子(のだ・せいこ)──自由民主党総務会長・衆議院議員 1960年福岡県生まれ。上智大学外国学部比較文化学科を卒業し、帝国ホテルに入社。87年岐阜県議会議員選挙に当選。93年衆議院議員総選挙で初当選。98年郵政大臣、2008年内閣府特命担当大臣を経て、現在7期目。

野田聖子(のだ・せいこ)──自由民主党総務会長・衆議院議員
1960年福岡県生まれ。上智大学外国学部比較文化学科を卒業し、帝国ホテルに入社。87年岐阜県議会議員選挙に当選。93年衆議院議員総選挙で初当選。98年郵政大臣、2008年内閣府特命担当大臣を経て、現在7期目。

野田 私は国会議員として長い間、人口減少という問題に取り組んできました。しかし、この政策に誰も本気で着手せず、もはや手遅れ状態。100年後には日本の人口が今の半分になるという統計もあります。時代に合わせ経済の仕組みを作るべきですが、工程表ができていません。目先の経済指標よりも息子たちの将来が気になります。

佐藤 今の子どもたちが大人になる頃はこの国がどうなっているのでしょうね。

野田 母という視点があるからこそ日本の将来を考えられ、人口減少という問題にも腰を据えて取り組めるのだと思います。

 労働力確保のため、女性の利活用や子育て支援に取り組む機運はありますが、政府は抜本的な手を打てていません。企業は積極的に女性の雇用を考えていただきたいものです。

佐藤 子育て支援として社内に保育施設を用意する企業も増えていますが、そもそも通勤ラッシュ時に子どもを連れて電車に乗ることは難しいです。

野田 そうなんですよ。子育て支援は局地的で連動性がなく、機能していないことがあります。例えば交通機関にベビーカー専用車両があれば企業内保育所も利用しやすくなるのではないかと思います。

佐藤 駅に保育所があると便利ですよね。

野田 病児保育がほとんど実施されていないことにも違和感を覚えます。子育てして分かりましたが、子どもに病気はつきもの。そのつど親が会社を早退しては仕事になりません。病児保育は当たり前。そういうことも対策するべきですね。

0501_20140513_SANSAN_02

 野田聖子氏のストレス解消法とは

佐藤 最後に、ストレス解消法や健康法はありますか。

野田 私は、仕事が終わっても本業の母という仕事があります。障害児で人工呼吸器をつけているので、夜中も面倒を見なければなりません。結果、毎日睡眠時間は約3時間。それでは体が持たないから、出張の移動時間に補います。限られた時間でぐっすり寝ることが健康法です。

 あとはストレスを溜めないようにしています。国会議員はストレスの多い仕事ですが、帰宅後にやんちゃ盛りの息子のおむつを替えたり、戯れたりするうちにストレスが抜け、すっきりとした気持ちになれるんです。

佐藤 子育ての経験によって聖子先生自身、母親としても成長できているのかもしれませんね。子どもの存在は宝です。

野田 この国の将来をより良いものとして、次世代につないでいきたいのです。そのためにいろいろと考えることも、元気の秘訣かもしれません。

[対談を終えて]
0501_20140513_SANSAN_03この連載は対談相手に似顔絵を描いてお渡しするサプライズ付きで始まりました。似顔絵は初対面ほどうまく描けるのですが、聖子先生の場合は、長年のイメージにとらわれ少し苦労しました(笑)。似顔絵を聖子先生にお渡ししたら「留守にすることが多いから息子の部屋に飾ろう!」と喜んでくださいました。子育てを通じて見えた課題に取り組む「鉄母」聖子先生を応援しています。

(取材・文/経済界代表取締役社長・佐藤有美)

 

 

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