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米国市民の半数以上はシリア軍事行動に反対

ニューヨーク・タイムズスクエアで8日開かれたシリア爆撃反対デモ(撮影/筆者)

ニューヨーク・タイムズスクエアで8日開かれたシリア爆撃反対デモ(撮影/筆者)

 8月21日にシリアで化学兵器が使われ、多数の市民が犠牲になったニュースが流れてから、米国内は風雲急を告げている。

 30日、ジョン・ケリー国務長官が声明を出し、化学兵器はシリアのアサド政権側が使用したとほぼ断定。31日は、チャック・ヘーゲル国防長官が「国防総省(ペンタゴン)は準備ができている」と発言。そして9月1日、週末土曜日であるにもかかわらず、オバマ大統領がジョー・バイデン副大統領を伴って会見。

 「議会の承認を得て、軍事介入を決める」との方針を明らかにした。オバマ政権の首脳がこれだけ連日テレビに姿を見せるのは、極めてまれなことだ。

 国民の関心も高く、オバマ大統領が会見した1日午後は、ニューヨークのタイムズスクエアなど各地で、軍事介入反対のデモが開かれた。テレビの報道も、合衆国憲法の解釈や議会の反応を伝えて、このニュース一色だ。

 もともと、シリア内戦のニュースは、アラブの春から始まり、この2年、ニューヨーク・タイムズなど主要メディアがずっと報じてきた。シリアの周りには、イスラエルやサウジアラビアなど米国の友邦国もあり、中東問題は常に米国の最大の関心事だ。

 オバマ大統領は、化学兵器の使用が分かった時点で、軍事介入には前向きな考えをみせていた。8月24日には、その意向をホワイトハウスのチームに知らせている。国連の化学兵器に関する調査団も当初の予定より1日早く撤退させ、米メディアは29日にもミサイル攻撃が始まるとみていた。

 しかし、情勢が変わったのは、全面的な支援を得ると期待していた英国のキャメロン首相が、議会の承認を得るのに失敗したからだ。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、8月30日、金曜日の夜まで、ホワイトハウスの国家安全保障チームは、議会の承認を得るという選択肢を全く検討していなかった。オバマ大統領が、国家安全保障に詳しいマクドノー首席補佐官とホワイトハウス内の散歩に45分間出掛け、戻って来てから、大統領が単独で、議会承認を得るという決断をした。

 オバマ大統領は、最大の同盟国の英国が参戦できなくなった中、独善的に武力行使に踏み切ったとみられるのを、懸念していた。それにマクドノー首席補佐官も同意。また、ジャーナルは、米統合参謀本部のデンプシー議長が、オバマ大統領に「米国の攻撃のタイミングは問題にならない」との見解を示したと伝えている。攻撃が明日、あるいは1週間後、1カ月後でも、米軍は作戦の有効性を保証できると、同議長は伝えたという。

 また、有権者に対する配慮も大きい。

 NBCの調査によると、米国は軍事介入をするべきだという人が42%、軍事介入をするべきではないという人は50%で、反対の市民が上回っている。

シリア問題が米国の内政に及ぼす影響

 9月1日、8日の週末にタイムズスクエアで開かれたデモには、1千人ほどの市民が集まった。

 「オバマはシリアを爆撃するな」「シリアをイラクにするな」「ペンタゴン、ミサイルではなく、フードスタンプ(食料配給券)を」というプラカードが無数に立った。

 また、オバマ大統領はイラク戦争からの撤退を公約し、政権に就いてから2年後に達成。アフガニスタン侵攻からの撤退は、今も続行中だ。

 オバマ大統領は今年5月、戦没者追悼記念日にアーリントン軍人墓地を訪れ、式典の後、「セクション60」に特別に足を運んだ。イラク戦争とアフガニスタン侵攻の戦没者の墓地だ。今でも、アフガニスタンで戦死した兵士の新しい墓が毎月立つ。

 「同胞が今現在も国家につくし、闘い、命を戦線にさらしていることを忘れてはならない」と大統領は強調した。ミシェル夫人とともに、大きな祝辞には必ず軍人とその家族を招待するオバマ氏は、「軍事介入は、ブーツを巻き込むことはない」と下院議員らに説明し、地上戦は排除する考えだ。

 向かい風も当然ある。オバマ大統領が強い態度に出ないことに、中東の同盟国、イスラエルやサウジアラビアの不信を強めることになるとして、ウォール・ストリート・ジャーナルは早速「オバマ政権の中東政策は失敗に終わった」と書いた。

 同時に、軍事介入に踏み切る根拠が不透明として、身内の民主党議員にも反対派がいる。

 また、ジャック・ルー財務長官は、10月にも米国の政府債務が上限に達するとして、下院の迅速な行動を求めている。それにもかかわらず、オバマ氏が軍事介入に関する議会の承認を求めたため、議会のリソースはすべて今、シリア問題に向けられている。

 シリア問題が、米国の内政にもたらした負担は計り知れない。

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