政治・経済

今年度の融資残高の増加が見込まれるなど、消費者金融業界に明るい兆しが現れている。過払い金の支払い問題や改正貸金業法の影響で業界は壊滅的危機に瀕していたが、景気回復傾向が強まり復調を期待する声が高まる。しかし、独立系大手のアイフルは、業績浮上の契機をつかめていない。 (本誌/鈴木健広)

銀行系大手との間で明暗が分かれる?

経費節減策として今年3月時点での店舗数を、06年比で4分の1である651カ店にしたものの、今後は収益確保のために拠点網を維持する方針

経費節減策として今年3月時点での店舗数を、06年比で4分の1である651カ店にしたものの、今後は収益確保のために拠点網を維持する方針

 過払い金問題や総量規制を盛り込んだ貸金業法改正などで、完膚なきまでに叩きのめされた感のある消費者金融業界。各社は業績面で大打撃を受け、存亡を危ぶまれる時期が続いてきたが、ここに来てようやく底打ちの感が見え始めている。

 例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループの傘下に入ったアコム。今年4〜6月までのローン貸付額は、前年同期比10%超の増加となる908億円となった。三井住友フィナンシャルグループの子会社で、プロミスを運営するSMBCコンシューマーファイナンスも同様。2014年3月第1四半期決算における営業収益は前年同期比0・7%増の472億5200万円と増収を果たした。

 そんな中、独立系大手のアイフルは復活への手がかりをつかみきれていない。14年3月第1四半期の営業収益は、8・4%減の237億8200万円で、融資残高も減少幅は縮小しつつあるが、下げ止まりには至っていない。

 新規申込件数は増加傾向にあるものの、「大幅に落ち込んでいた申込件数がやや上向いただけであって、回復と言えるほどの状態ではない」(消費者金融幹部)という。

 かつてアイフルは、独自の営業力や「チワワ」の登場するテレビCMなどを追い風に、大手の一角として圧倒的な存在感を誇っていた。だが、違法な取り立て行為による06年の行政処分をきっかけに経営が暗転。さらに過払い金の請求や貸金業法改正も追い打ちを掛け、業績に大ダメージを受けた。

 07年以降、4回にわたる希望退職の募集や店舗の統廃合をはじめとする大リストラを断行。それらの経費削減効果が鮮明に表れ、12年3月期にはようやく3期ぶりの黒字転換を果たした。「コスト改革による経営効率化が進んでいる」(国内アナリスト)と一定の評価を与える向きもある。

 ただ、徹底的なコストダウンで利益体質を強化しているとは言え、アイフルが業績を回復軌道に乗せるには大きな問題がある。かねてから消費者金融の経営を圧迫してきた「過払い金請求問題」が今も尾を引いているのだ。

 過払い金請求のピークアウトを指摘する声がある一方で、業界関係者は「大手各社の想定以上に請求件数の高止まりが続いている」と指摘する。実際、アイフルにおける毎月の利息返還請求件数は、昨年度以降、月によって多少の変動はあるものの、7千〜8千件規模から減少する気配がない。直近における利息返還金も毎月20億〜30億円規模で推移しており、経営の足を引っ張る。

過払いと独立系のハンデを克服できるか

 弁護士や司法書士にとっての過払い金の回収事業は、確実に報酬を積み上げられるおいしいビジネスであり、競争過多な都内から地方へ案件を発掘に行くケースも多々あるという。こうしたことからアイフルは、今年下半期以降の請求件数についてもほぼ同水準での推移を見込んでおり、突然問題が終息に向かう可能性は低い。「2、3年前のように、経営を揺るがすような請求件数が発生するとは考えにくいが、依然、収益の圧迫材料であり続ける」(アナリスト)という見方が一般的なようだ。

 もう1点の懸念材料は、アイフルが銀行の傘下に入っておらず、アコムやプロミスというメガバンク子会社に比べて資金調達力で劣る点だ。金融機関は過払い金請求の推移に懸念を示しており、アイフルに対する融資には依然として及び腰。「融資を手控えているのだから、当然アイフルに出資しようと考える金融機関は皆無に等しい」(銀行関係者)という。

 業界では、景気回復への期待感による消費マインドの変化を歓迎する向きがあるものの、このままではアイフルはその恩恵を享受できない可能性がある。銀行系は景況感を見越して思い切った先行投資をすることも可能だが、独立系のアイフルにとっては容易でないからだ。

 手足を縛られたとも言える状況だが、好材料もゼロでない。業界イメージが最悪だった時期が過ぎ、宣伝活動にも少しずつ力を入れやすくなった。お笑いコンビ「バナナマン」を起用したテレビCMが好評で、「同業大手に比べて3分の1程度の宣伝費で、3分の2程度の新規獲得を実現している」(金融業界幹部)という。広告効果を受け、新規件数の半数程度を占めるとされるインターネットからの申し込みも好調に推移している。

 金融機関のローンを利用する顧客の債務を保証する保証事業についても一層の強化を進めている。自己資金を使わずに収益が得られる信用保証事業は、消費者金融各社が拡大を図る領域だ。もちろん、保証事業においても、系列金融機関を持つメガバンク傘下のアコムやプロミスの優位性を崩すことは簡単でない。そんな中、アイフルは信用金庫や信用組合を対象に顧客獲得を進めている。新規開拓に加え、無担保ローンの保証提携先金融機関に事業性ローンでの提携を促すなど、一層の関係強化を進めている段階だ。

 業界大手の関係者によれば、現在のアイフルに残っている社員の士気は高く復活への機運が高まっているという。数少ない好材料を手掛かりに巻き返しを図ることができるか。

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