政治・経済

中途半端な統合で南北の格差を生んだヨーロッパ

 IMFは7月、恒例の世界経済見直しを発表している。2013年の世界全体の成長率は3・1%と4月の予測を0・2%下方修正している。下方修正をしたのはユーロ圏と新興市場国。ユーロ圏の成長率はマイナス0・6%と4月予測から0・2%下げている。中国のそれは7・8%、インドは5・8%と、それぞれ0・3%、0・2%の下方修正だ。4月からの上方修正は主要国では日本のみで、日本は13年2・0%で成長すると予測している。

 ヨーロッパの混乱は相変わらず続いている。ユーロという共通通貨をつくり、金融政策も統合し、ヨーロッパ統一への布石はそこそこ打たれてきたのだが、本格的統合のためには財政を一致させることが必要。なかなかそこには踏み切れず中途半端な統合が南北の格差を生み、混乱が収まらないというわけなのだ。共通通貨ユーロの創設はドイツを圧倒的に有利にし、ギリシャ、スペインなど南欧諸国に不利に働いている。かつてならドイツマルクが切り上げられ、ギリシャドラクマ、スペインペセタが切り下げられ格差の調整がなされたのだが、ユーロをつくったことでそれができなくなってしまった。ヨーロッパ合衆国ということなら、ドイツが南欧に財政支援をしなければならいのだが、現在の政治体制ではドイツがなかなか動かない。

 問題が、統合が中途半端だという構造的なものだけに、ユーロ危機を収束するのはかなり難しいと言えよう。

世界経済を牽引してきた中国・インドは政治状況が不透明

経済の減速に悩むインド

経済の減速に悩むインド(写真:時事)

 片や新興市場国。過去10年近く平均10%近い成長率を達成してきた中国経済も大きく減速し始めている。前述したように、IMFの13年の成長率予測は7・8%だが、第1四半期の成長率は7・7%。13年全体も7・8%より若干低くなる模様だ。総額130兆円を超えるというシャドーバンキングが問題になり、不良債権問題が大きなネックになる可能性が出てきているのだ。一気に中国経済が崩壊することはないにしても、今までの高成長のひずみが次第に顕在化していく可能性は低くない。加えて、13年からは新たな習近平・李克強体制に移行。その権力基盤はまだまだ脆弱だといわれている。常務委員人事をめぐって胡錦濤と江沢民の間で激しい権力闘争が展開されたようで、太子党の習近平と共青団出身の李克強の間にも若干の溝があるようだ。いずれにせよ、経済成長率が大きく減速する中で、新たな権力基盤を固めていくことはそう簡単ではないだろう。

 インド経済もかつての成長率7~8%から5%台に低下。また、大量の金輸入、石油価格の上昇で経常収支赤字がGDPの5%近くまで拡大し、ルピーが大きく下落。インド中央銀行(RBI)はルピー防衛に躍起になっている。RBIは立て続けに金融引き締め策を打ち出し、何とかルピーの下落を食い止めようとしているが、目立った成果は上がっていない。

 インドもまた、中国同様政治状況が不安定だ。国民会議派のトップはソニア・ガンジーだが、首相はテクノクラートのマンモハン・シン。シン首相はかつてRBI総裁も務めた実務派だ。この双頭体制が最近必ずしもうまく機能していない。強いリーダーシップが欠けているため大胆な政策変更ができないという批判がこのところ急速に高まってきている。

 しかも来年は選挙の年。野党BJPも政権獲得を目指して大きく動き出している。野党の実質的なリーダーと目されているのがグジャラート州知事のナレンドラ・モディ。グジャラート州を経済的繁栄に導いた手腕は高く評価されている。

 世論調査では、国民会議派グループもBJPグループも安定多数を獲得できず、第3の勢力が伸長すると予測されている。いずれにせよ、連合政権にならざるを得ないのだが、状況は不透明だ。

 このところ10年以上にわたって高成長を達成し、世界経済を引っ張ってきた中国とインドが経済の減速に悩み、政治状況も不透明になっているのだ。世界経済は1つの大きな曲がり角に差し掛かっているのではないだろうか。 (文中敬称略)

 
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