政治・経済

 10月1日に安倍首相は、消費税を引き上げる決断をした。それ自体は民主党野田政権が決断したことであり、それを変更しないという「決断」をしただけ、あるいは法律改正などのアクションをとらず追認し、何もしなかっただけだから、何もあんなに派手に記者会見することも報道することもなかった。しかし、見えてきたこともあった。それは国民の大きな誤解である。

 メディアはこぞって、消費税率引き上げを支持する人、困ったと言って不満を表明する人を取り上げた。そこで登場する消費税率が上がって困ると言っている人々こそが、この消費税率引き上げの恩恵を直接受ける人々であったから、これは壮大なる皮肉かジョークかと、私は驚いた。

 なぜなら、テレビに登場する消費税率引き上げで困る人々とは、年金生活者であったからだ。彼らの年金を守るために消費税は増税された。しかし、その守られた彼らが一番不満を表明している。そして、壮大なる記者会見をした首相も、派手に宣伝したメディアも、根本的な失敗に気付いていない。

 年金生活者を守るために、年金を破綻させないための消費税増税なのに、守った人々から苦情が来る。これは政策の政治的な失敗ではないか。

 消費税率の引き上げは、本質的には、年金をカットするか、増税するかの二択の結果である。そして、優しい若者たちは、歯向かうことなく、投票しないことで、黙ってこの負担を受け入れた。そして、消費税引き上げにも仕方ないと、インタビューに答えている。

 これは一見、これ以上の年金負担、給与天引きの負担率が上がるよりは消費税のほうがましで、それは年金受給者も負担するからだ、という説明はできるが、厚生年金などは、超高額の年収の人を除けば、給与収入比例であるから、若者の負担よりも40代、50代の大企業正社員の方が圧倒的に多いはずだ。つまり、消費税増税の恩恵は直接的には現時点の年金受給者に向かい、間接的な負担軽減は中年の高所得者に及び、しわ寄せは若年非正規雇用者に行っている。そして、消費税騒動に一番かかわらなかったのは、彼らなのだ。

 この政治の矛盾は解決しておかなければ、ある日突然崩壊がやってくる。無言の若者たちが拒否したい時に、これまでの日本の年金バブル、税負担逃れバブルが崩壊するからだ。

 したがって、消費税増税の負担を緩和するための補正予算も減税も必要なく、年金給付を一刻も早く引き下げるべきだ。

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