政治・経済

ローレン・サマーズのFRB議長候補辞退に失望

 ローレンス・サマーズ元財務長官(元ハーバード学長)がFRB議長候補を辞退した。これは多くの米国市場関係者、エコノミスト、政治家たちに歓迎されている。メディアも評論家も当然といった扱いだ。失望しているのはオバマ大統領だけと言われているので、私が世界で二番目に失望していると言えるだろう。

 なぜ、オバマと小幡がサマーズを高く評価しているか。それは実力が段違いだからだ。彼の頭脳、判断力、大局観、議論の明快さ、説得力すべてにおいて、他の経済学者とは次元が違う。ハーバード大学経済学部の教授陣、博士課程の学生達で彼を尊敬しない者はいない。

 では、なぜ、他の人々はサマーズにこれほど否定的なのか。

 嫌な奴だからである。

 市場関係者は、サマーズが量的緩和のリスクを強く意識しており、縮小する意向が強いことを単に嫌っているだけだが(縮小ペースが速ければ株式を中心に短期に金融商品の多くは下落する)、他の人々からも反対が多いのは、みんな嫌いだからである。要は、人格問題だ。

親分肌だが態度が嫌われるローレン・サマーズ

 サマーズは、ハーバードの学長の辞任に追い込まれた。これは、女性差別発言がきっかけだったが、当時の議論の映像を見る限り、明らかにサマーズは論理的な議論を展開している。

 女性がある分野で本質的に劣っているという仮設に立つとすると、という議論をしているが、それはわざと挑発的な言葉を用いているのであり、彼がそれを主張していないのは明らかである。また全体の議論から言ってもただ客観的に議論するとどうなるか、という文脈で語ったものである。

 しかし、この発言が大きな波紋を呼び、辞任させられたわけだが(不信任が決議された)、学生は大多数がサマーズを支持した。そして、経済学部のスタッフたちはすべてサマーズを強く守ろうとした。

 サマーズは面倒見が良く親分肌で、近くで接した人は尊敬と愛を持ち、遠くの人々は態度を毛嫌いするということだ。

 ここでのポイントは、米国も、結局好き嫌いで世の中を動かし、経済を動かすようになった、という事実が露呈したということだ。

 ポピュリズム以前の問題で、上院、下院、経済学者(ハーバード以外の)は好き嫌いで、米国経済の命運を変えることを厭わなかったということだ。

 日本でも同じような事件は近年頻繁に起きているが、それは日本だけではなく米国でも同じであり、現代社会は知的な意思決定という意味では既に衰退を始めていることを示している。

 
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