政治・経済

 あらためて土地持ち企業に見直しの目を向けてみたい。一連の不動産関連株が、戻り一服後のもみ合い商状にある中、住友不動産(8830)は5月急落後の戻り高値を更新し、下げ幅に対する戻り率は7割に到達。7月12日、5年ぶりの高値に買われた日本空港ビルデング(9706)も高値圏で頑強な足取りにある。異次元緩和効果も手伝って、首都圏中心に地価上昇傾向が強まる中、〝新たなチェック項目〟として、有価証券報告書記載の「賃貸用不動産含み益」の動向も焦点として浮上してきそうだ。

 ここにきて地価上昇を示すシグナルが相次いで点灯。例えば、三井不動産と野村不動産が共同で手掛ける超高層マンション「キャピタル・ゲート・プレース」は6月29日からの第1期322戸を即日完売。12日付野村証券レポートは「デベロッパーは慎重だが、都心のマンション価格は上昇し始めている」と指摘。シティグループ証券の12日付不動産セクターレポートでは、4~6月期決算発表について、「マンション販売環境は良好であり、全般的に順調な契約進捗が確認されるであろう」としている。

 

五輪決定なら土地ブーム再来も

 

 首都圏の場合、もともと東京都は昨年まで「16年連続人口増加」を続けており、不動産売買活発化や都心の再開発ラッシュが物件の付加価値を高める流れにある中、2020年東京五輪開催の可能性が高まってきたことも追い風。仮に9月7日正式決定の運びとなれば、不動産ブームの再来も十分想定されてこよう。

 個別企業の土地含み益の概要は、(先に3月期決算企業分の出そろった)有価証券報告書からも垣間見られる。開示された「保有する賃貸用不動産の含み益」が大きい上位5社は、不動産大手3社やJR東日本(9020)、NTT(9432)となるが、この合計額は、前3月期末時点で、前年より6・6%の増加となった。足元の地価上昇傾向などを踏まえれば、この先、一段の含み益拡大も期待されてくるところか。

 三菱UFJ証券は、今週のウィークリーレポートで土地持ち・含み資産株を特集。「時価総額に対して保有する賃貸用不動産の含み益が比較的大きい銘柄」をピックアップしている。中でも、賃貸用不動産の含み益だけで、自社の時価総額を上回っている超割安株は、割安度順で、昭和飛行機(7404・2部)、片倉工業(3001)、三井倉庫(9302)、巴コーポレーション(1921)の4銘柄が挙げられる。次いで、NTT都市開発(8933)、サッポロHD(2501)、クラボウ(3106)、ダイビル(8806)、空港ビル、ニッケ(3201)、三菱倉庫(9301)など。

 ただし、これらの中には、NTT都市開発の前期末含み益は4016億円(前々期末4115億円)、サッポロは1257億円(同1265億円)、三菱倉庫は1719億円(同1722億円)などと、小幅ながら減少しているものもある。地価の騰落は地域ごとの格差が大きいほか、一部土地売却を進めている企業などもあるためとみられる。

 

羽田リニューアルで資産価値急増

 

 ここでは、時価総額対比での割安観とともに、含み資産額自体が増加している銘柄が注目されてくる。例えば日本空港ビルデングは、2012年3月期末時点の含み益799億円から、前期末には1007億円に26%の大幅アップ。締め切り時間までに会社側のコメントは得られなかったが、むろん羽田空港拡張・リニューアル効果によるものとみられ、今後も、国際線発着枠拡大や、五輪効果も含めた訪日外国人客増加などが一段の評価上昇に直結してくることになろう。

 増加率こそ劣るが、昭和飛行機も、前年の640億円から667億円に4%強の含み益増加。それでいて、時価総額は333億円と、含み益の半分足らずの水準にとどまる。昭島市本社で都心から離れた立地が敬遠された面はあるが、前週末まで5日続落で、4月高値1549円から、なお36%安水準の時価は、出遅れ感が強まっている。

 なお、時価総額対比では、やや見劣りするとはいえ、東京スカイツリー開業の東武(9001)、渋谷ヒカリエ開業の東急(9005)も賃貸不動産含み益は急増している。

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