政治・経済

中古ブランド品買い取り・販売大手の「大黒屋」が急成長している。中古ブランド品を取り扱う店は多いが、同社の特徴は質店を併営していること。商品の目利きには絶対的な自信があり、アジアへの進出も見えてきた。(文=本誌・編集委員/清水克久)

大黒屋の特徴は質屋で培った目利き力

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アジアからの観光客が多数訪れる新宿本店

 東京都内の繁華街で中古ブランド品を取り扱う店は連日、多数の顧客で賑わっている。客層の半分はアジアからの観光客で、故郷へのお土産で買っていく人もいれば、中には日本で・仕入れ・て、母国で販売する目的で買い付ける人も多いという。

 外国人が日本の中古ブランドに目を付けているのは、商品への信頼性が高いからだ。大黒屋の小川浩平社長は「日本人が鑑定し、値付けしていることへの信頼性もありますが、アジアでは・大黒屋が1つのブランドともなっており、うちの販売タグが付いていれば、それだけで信用されます。万が一にも偽物だったら、買い戻しの保証もあります」という。

 現在は東京都の7店舗をはじめ大阪府、愛知県など、全国の主要大都市に19カ店を出店しているが、いずれも好調で、この先、更なる出店やM&Aを通じた拡大を検討している。

 中古ブランド品を取り扱う会社は他にもあるが、1946年創業の大黒屋はもともと、質屋が発祥という特徴がある。質屋とは、顧客が持ち込んでくる商品を担保に現金を融資するサービスであるが、それだけ目利きの力が必要になる。偽物を見破ることはもちろんだが、その商品を売る場合の適性な値付けも大事だ。

 「買い取り価格は市場価格でもありますが、利益を出すために在庫回転率を高める努力をしています。同業他社と比較して、在庫回転率は30日程度違うと思います。うちの商品が売れているのは、他社より割安、つまりお買い得感があるからですが、決して薄利多売ではありません。適正な粗利益と在庫回転率を掛けた交差比率にはいつも注意しており、販売管理費も抑えているので、売上高では業界2位ですが、利益面では決して負けていません」(小川社長)

 同社のビジネスは顧客からの買い取りが先なのでCtoBのビジネスモデルである。流通業としては大変珍しい形であるが、取扱商品がブランド品や貴金属などで換金性、流動性は高い。問題は、買い手のニーズはあっても売り手があるかどうかだ。

 「これまで、多くの消費者の方々は、ブランド品や貴金属を・買う・ことが主眼だったわけですが、貴金属バブルを経験して、近年では一般の人でも・売る・ことに抵抗感はなくなってきました。さらに、多くのブランド品を保有する中高年層の方々は、今後、・モノ・を保有し続けるよりも、それを売ることで、子や孫の世代への投資や夫婦での旅行などの・コト・に対してお金を有意義に使おうとしています。そのような方々が増えていますので、買い取りが減るとは思っていません。日本は世界3大ブランド品市場の1つであり、その規模も大きい。質屋が売るのですから目利きもしっかりしています。だから訪日外国人も安心してエルメスの高級バッグや、ロレックスなどの高級時計を・日本ブランド・として買っていくのです」(小川氏)

 

大黒屋親会社のアジアグロースキャピタルはアジアナンバーワン目指す

 

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小川浩平・アジアグロースキャピタル社長

 大黒屋の親会社はアジアグロースキャピタル(東証2部)。35年に森電機として設立され、産業用照明機器などを製造販売してきた。

 その後、時代の変遷に合わせて業態を変え、投資事業を主力事業とすることで一昨年12月に現社名に変更。同社の社長でもある小川氏は、8年前に買収した大黒屋を、より大きな企業に成長させることを現在の最大の使命としているが、もともとは総合商社や外資系証券会社に勤務してきた。コロンビア大学経営大学院を修了後、米国ゴールドマン・サックスに勤務し、インベストメントバンカーとして80年代後半のLBO(相手先企業の資産を活用した買収)を駆使した大型M&Aなどの現場を経験してきた。

 その後、香港に上場する財閥系の不動産開発・投資事業会社の代表に就任。その投資先企業の1つが旧森電機で、その関係で小川氏が社長になり、業態を変えながら経営してきた。旧森電機の買収とそれに続く大黒屋の買収スキームがやや複雑だったこともあり一部に誤解が広まったが、東証などからの指摘は一切なかった。

 「投資事業というと、それだけで誤解を招きかねない部分もありますが、私がやりたいのはデット(銀行借り入れ)やエクイティ(株式)をバランスよく活用しながら企業の成長を促し、お客さまはもとより、従業員など関係するステークホルダーにとっての価値の最大化を目指すという企業再生の王道を行くことです。ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが大きな目標です」(同)

 アジアグロースキャピタルが成長する鍵は持ち分法子会社の大黒屋の業績が欠かせない。

 「大黒屋のもう1つの財産は、若手の店長クラスに人材がそろっていることです。彼らには厳しい交渉をやり遂げる・胆力・が備わっています」(同)

 全社員の力が結集すれば日本一はもちろん、アジアナンバーワンも見えてくると小川氏は自信をみなぎらせている。

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