政治・経済

 日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)交渉が大詰めを迎えた。茂木敏充経済産業相ら関係閣僚は3月26日、都内でオーストラリアのロブ貿易・投資相と会談。焦点の自動車や牛肉の関税をめぐって協議し、4月上旬の日豪首脳会談で合意するシナリオを描く。経産省はEPA交渉を前例として、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の農産品重要5品目の関税撤廃に道筋を付ける〝一挙両得〟を狙うが、大きな代償が求められそうだ。

 「牛肉関税は30%じゃあ話にならない。もっと農水省に引き下げさせなくては」。経産省幹部はこう強調する。

 日豪両国の交渉で、日本は経産省を中心にオーストラリアの自動車関税(関税率5%)の撤廃を要求。これに対し、オーストラリア側は日本の牛肉関税(38・5%)の引き下げを引き換えに求めてきたが、日本の農水省が抵抗してきた。

 既に自動車分野ではオーストラリアが軟化姿勢を見せ、焦点は牛肉関税の引き下げに移行。農水省は段階的に約30%まで引き下げる譲歩案を検討していたが、経産省は現行の半分に相当する約19%まで大幅に引き下げるオーストラリアの要求を支持して市場開放をアピールしようと躍起だ。

 背景にはEPA交渉を契機に、TPP交渉の停滞打破を目指す経産省の思惑がある。日米両国は日本の牛肉など重要5品目の関税の扱いをめぐり対立し、それがTPP交渉の膠着を招いた。

 このためTPP参加国でもあるオーストラリアとのEPAで牛肉関税の大幅引き下げが決まれば、「関税引き下げのひな型ができる」(経産省幹部)。さらに、日本の牛肉市場で豪州産と競合する米国の〝焦り〟を誘う狙いもあり、EPA交渉で先行して市場開放を進めることが、TPP交渉の前進につながるとの考えだ。

 ただ、日本は農産品の「センシティビティー(重要品目)」を認めさせる代わりに、米国の自動車にも同様の扱いを容認してきた。経産省が農産品のセンシティビティーへの切り込みを認める以上、米国の自動車市場の開放でも大きな成果を求められることになりそうだ。

 
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