政治・経済

 財務省が3月10日に発表した1月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資の取引状況を示す経常収支は1兆5890億円と、単月で過去最大の赤字を記録した。経常赤字は初の4カ月連続で、1兆円を超えるのも初めて。貿易収支が大幅に悪化しており、日本は、モノを海外に売って黒字を稼ぐ「輸出立国モデル」が崩れつつある。

 経常収支は、輸出額から輸入額を引いた「貿易収支」、日本企業が海外の子会社から得る配当などを示す「所得収支」など、4つの収支項目を差し引いて算出する。

 麻生太郎財務相は11日の閣議後会見で「(貿易赤字を補っている)所得収支は、確実に伸びている」と述べ、経常赤字があくまで一時的なものであるとの考えを示したものの、日本の「稼ぐ力」は確実に落ちている。

 経常赤字が膨らんだのは、1月の貿易赤字額が2兆3454億円と、過去最大を記録したためだ。原発が止まり、火力発電燃料の液化天然ガス(LNG)や原油の輸入額が増えている上に、製造業の海外移転が進み、円安の下でも輸出が伸びなくなっている。所得収支が1兆3374億円の黒字となり、経常赤字額を縮めたものの、「焼け石に水」(市場関係者)とも言える状況だ。

 貿易黒字が難しくなったことは、戦後、高い技術でのモノづくりと輸出で稼いできた日本のモデルが崩れつつあることを意味する。また、経常赤字の定着は、国内資金だけで国の借金をまかなえないとの連想が働き、海外投資家が国債を売りやすくなって、金利の変動が不安定になるとの見方も根強い。経団連の米倉弘昌会長は、「円の信認にも関係するので、(経常)黒字は死守しなければならない」と訴えている。

 海外には、米国や英国のように、経常赤字でも国内の投資や消費が盛んで、成長を続けている国もある。日本も、引き続き貿易立国を目指すのか、内需を増やすのか、海外での投資を増やすのか。稼ぐモデルの再構築が求められている。

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