政治・経済

 国土交通省が発表した2014年の公示地価(1月1日時点)は東京、大阪、名古屋の三大都市圏が住宅地、商業地とも6年ぶりに上昇、全国平均も下落幅が大幅に縮小した。「アベノミクス」による景気回復が、期待感から実感を伴いつつある姿が浮き彫りになった。太田昭宏国交相は「動向は引き続き注視していく必要があるが、実体経済と連動した適度な地価の上昇によって土地取引の活発化、ひいてはデフレ経済の脱却につながることを期待している」と話した。

 三大都市圏の中でも上昇が際立つのが東京圏と名古屋圏で、共に企業の業績好転が地価を支えている。東京都の商業地は平均2・3%の上昇と、都道府県では全国1位の上げ幅。丸の内のオフィスビルでは、昨年後半から入居の相談が相次いでおり、運営する三菱地所は一部で賃料の引き上げに踏み切った。名古屋はトヨタ自動車と関連企業の業績が好調。名古屋駅周辺の再開発や今秋めどに着工予定のリニア新幹線への期待から、付近の地価を10・1%押し上げた。

 住宅地は全国の調査地点のうち3割が前年より上昇した。昨年の上昇率は8%で、住宅を買う余力のある人が増えたという点で景気回復を裏付ける。消費増税前の駆け込み需要も地価上昇に「寄与はしている」と国交省はみる。東京では「五輪効果」で選手村の建設予定地に近い中央区勝どきが10・9%も上昇した。

 一方、地方圏は住宅地、商業地とも22年連続のマイナスと二極化が進む。台風で大きな被害を受けた大島が下落率1位だったほか、津波被害が予想される沿岸部や、商業の空洞化が進む地方の下落幅が大きい。

 世界的な金融緩和も背景に、海外のリスクマネーが日本の不動産市場にも流れこんでいる。日本が再び不動産バブルに陥る懸念について業界では「過去の教訓もあり、その兆しはない」(不動産アナリスト)との見方が大半を占める。ただ政府はバブルを未然に防ぐ狙いから国際通貨基金(IMF)の基準を活用して取引状況を早く正確に把握する「不動産価格指数」の実用化に乗り出しており、警戒を緩めていない。

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