文化・ライフ

赤色と意欲低下の関係

 文字で何かを伝えるとき、あなたは大切な部分を赤色で書いていませんか。そうだとしたら、考え直したほうが良さそうです。赤色が意欲低下を招くことが研究で明らかになったのです。

 今、イギリスの教育界では、「赤ペン論争」と呼ばれる議論が持ち上がっています。この国でも、試験の採点に赤ペンが使用されていたのですが、最近になって、「赤色は脳に良くない作用を及ぼすので、色を見直すべき」との議論が巻き起こり、緑色や青色など、赤色以外のペンで採点する教師も急増しているそうです。

 事の発端は意外にもサッカーに関する研究でした。ダラム大学(イギリス)のグループがサッカーリーグの対戦成績を調べたところ、赤いユニフォームの勝率が高いことが判明しました。当初は赤色が脳に良い作用を及ぼすためと解釈されたのですが、分析し直したところ、赤色が影響していたのは、着ている側ではなく、見ている時間の長い対戦相手のほうだったのです。対戦相手が赤色を見て脳機能を低下させ、結果、赤色のチームが勝てたというわけです。

 意欲は脳内の側坐核と呼ばれる部分で生み出されます。ここの働きが赤色で鈍り意欲が低下します。さらに思考力を生み出す前頭前皮質も赤色で機能が低下します。ロチェスター大学(米国)が行った実験では、赤色を見ると一時的にIQ(知能指数)が低下する結果が得られています。

 意欲の低下もIQの低下もビジネスには致命的ですが、人間が生き残るためには好都合でした。原始時代、ケガで出血したとき、意欲を出して動きまわると大量失血で死亡するので、赤い血を見たときは何も考えずじっとしている必要があったのです。

 人の脳に赤色を見ると行動を思いとどまらせる機能があることは、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)の実験で証明されています。信号機の赤色が停止を意味するようになったのも、そんな脳の性質が背景にあったからです。ですから、間違った行動をやめさせたい場合は、赤色で注意を書くのが効果的。ただし何かを実行してもらいたい場合は、緑色や青色を使ったほうが良いのです。伝える内容に応じて、赤色と他の色を賢く使い分けてください。

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