政治・経済

高校野球に象徴される現行制度の弊害

 第31回(本誌8月20日号)の本連載でも述べましたが、最近の気候の変化は明らかに異常です。

 夏場の気温は30℃超えが当たり前になり、最高気温が35℃以上になることも珍しくなくなりました。日本の気候はますます熱帯化していますが、これに伴ってあらゆる習慣、制度の見直しを進める時期に来ていると思います。

 前回はサマータイムの導入について述べましたが、このほかに考えられる対応策として、熱中症が頻発する7月、8月の期間は学校をすべて休みにすることを検討すべきでしょう。

 さらに、高校野球に代表される公式な競技大会も、酷暑の中で行うのは中止すべきだと思います。夏の甲子園大会は高校野球関係者にとっては確かに聖なるイベントなのでしょうが、地方予選は6月下旬から始まり、7月、8月の猛暑期に集中して行われています。そのために、本大会ではプレーヤーだけでなく、保護者や同級生など応援する側も最悪な環境にさらされてしまいます。これでは熱中症でバタバタと倒れても不思議ではありません。

 そこで、思い切って北海道などの涼しい地域に場所を移して大会を開催するか、時期を秋にずらす、あるいはドーム球場を使うといった対策を検討してはどうでしょうか。とにかく暑さ対策を真剣に考えなければなりません。過去の延長線上で甲子園が聖地だからという理由だけで、真夏の炎天下で野球をやり続けるというのは理不尽な気がします。

 高校野球は象徴的な例として挙げましたが、この話を突き詰めていけば秋入学制度導入の議論にも結び付きます。春学期制の下では、夏休みの期間中は授業が休みでも部活動は最も盛んに行われます。合宿も涼しいところで行うならまだいいのですが、炎天下の東京で集中的に部活に取り組むケースもあるようです。

 秋入学制度が導入されると、ちょうど夏休みは学年の入れ替わりのタイミングとなって、新たな年度に向けての準備期間という位置付けになるので、学校で集中的に練習する必然性もおのずと減ってくるのではないでしょうか。

 海外の制度に合わせるという理由や国際競争力の問題うんぬんではなく、ますます熱帯化するわが国の気候に対応するために、秋学期制の導入をぜひ前向きに検討してほしいところです。

 気候変動に対応する必要性は、企業にしても同じことが言えます。過去からの慣習という理由だけで、現実にそぐわない制度を続けているケースは非常に多いのではないでしょうか。勤務時間や夏休みをどうするかという議論は当然行っていくべきでしょうし、これだけ暑い国になってしまった以上、実態に併せた制度に変えていく必要があります。これは企業や国のリーダーの責務ではないかと思うのです。

夏の期間だけでも官公庁は北方に移転を

 そこでまず、首都機能の移転を提案したいと思います。真夏に霞が関の官公庁を訪れた人は分かると思いますが、建物の中は非常に暑くて、到底仕事に集中できる環境ではありません。確かにエアコンは28℃設定になっているのですが、実際は職員が働いていてパソコンなどの電子機器も動いているのでもっと暑く感じます。補正予算などは夏に作成していますが、そのような環境で働いても効率が落ちるだけです。夏場の公務員は本当に気の毒にと思います。スーパークールビズを導入してどうにかなるような話ではありません。

 ここは思い切って、6月から8月の間だけでも中央官庁の機能を首都圏から仙台に移転するくらいのことを考えてみてもいいのではないでしょうか。そうすれば教育機関の入学時期変更にも合わせることができるし、いずれにせよ2年単位で官僚は配置換えとなるので、大きな弊害はないでしょう。もちろん、恒久的な移転でも全く構わないと思います。

 資料などの移動が大変だと反対意見も多くあるかもしれませんが、このデジタル化の時代、基本的に身ひとつとオンライン環境さえあれば大概の仕事はできるはずです。3カ月程度の期間、移動するのは十分可能だと思いますし、機能を分散して涼しいところで働く人間を増やしたほうが、業務効率も上がるでしょう。仙台に官公庁が移転すれば、現地の復興の手助けになるかもしれません。

 東京のど真ん中で、劣悪な環境に耐えて仕事をするのは非常に馬鹿げていると思います。当然のことながら、文部科学省には真っ先に移転してほしいですね(笑)。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポート――中島優太(エベレディア社長)

 昨今、事業拡大や後継者対策などを目的とした企業同士のM&Aが増加している。同様にウェブサイトのM&Aが活発化している事実をご存知だろうか。サイトの売買で売り手にはまとまったキャッシュが、買い手にはサイトからの安定収益が入るなど、双方に大きなメリットがもたらされている。大手ITグループから個人事業主まで幅広い…

201712EVEREDIA_CATCH

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年1月号
[特集]
敗者復活戦

  • ・負けから何を学び、糧にしていくか
  • ・存亡の危機を乗り越えた「熱海」の逆転ストーリー
  • ・あの名門ブランドが、帰って来た(アイワ、ビクター)
  • ・「なるほど家電」を牽引する大手家電メーカーの早期退職組(アイリスオーヤマ)
  • ・関ケ原で敗れた立花宗茂はなぜ、返り咲くことができたのか
  • ・市江正彦(スカイマーク社長)
  • ・加藤智治(ゼビオ社長)

[Special Interview]

 三毛兼承(三菱東京UFJ銀行頭取)

 「旧来の商業銀行は構造不況業種 大変革で信頼と強さを持ち続ける」

[NEWS REPORT]

◆カードローン規制で稼ぎ頭を失う地方銀行の明日

◆12年ぶりのアイボ復活 名実ともにソニー再生は成るか

◆終身権力者も視野に入った習近平が恐れるクーデター

[特集]クルマが変わる、社会を変える

・これから始まる全自動運転 OSを制するのは誰だ!?

・車載電池の性能が左右するEV時代の覇権戦争

・冷える鉄鋼、潤う化学 クルマが変える産業構造

・トヨタ・日産・ホンダ・マツダ 主要4社「わが社の戦略」

ページ上部へ戻る