文化・ライフ

倉本昌弘(くらもと・まさひろ) 1955年生まれ。10歳でゴルフを始め、中学3年で広島GCのクラブチャンピオンとなる。日本大学時代は「日本学生ゴルフ選手権」で4連覇を達成するなどアマチュア時代にも数多くのタイトルを手にする。80年にプロテストに合格。初戦となった「和歌山オープン」でいきなり優勝するなど、同年のツアー競技で4勝をあげ賞金ランキング2位に入る。以降も順調に優勝を重ね、92年には永久シード権を獲得する一方、ツアー改革にも積極的に取り組んできた。2014年2月、日本プロゴルフ協会会長に就任。

倉本昌弘(くらもと・まさひろ)
1955年生まれ。10歳でゴルフを始め、中学3年で広島GCのクラブチャンピオンとなる。日本大学時代は「日本学生ゴルフ選手権」で4連覇を達成するなどアマチュア時代にも数多くのタイトルを手にする。80年にプロテストに合格。初戦となった「和歌山オープン」でいきなり優勝するなど、同年のツアー競技で4勝をあげ賞金ランキング2位に入る。以降も順調に優勝を重ね、92年には永久シード権を獲得する一方、ツアー改革にも積極的に取り組んできた。2014年2月、日本プロゴルフ協会会長に就任。

 昨年、現職の副会長と理事の反社会的勢力との交際が発覚、森静雄会長ほか全理事と全代議員が総辞職した日本プロゴルフ協会(PGA)。そして出直し選挙を経て新たに選ばれた理事の中から新しい会長を選ぶ会長選挙が2月24日に実施され、新会長として選出されたのが「経営マニフェスト」を掲げPGA改革を訴えた倉本昌弘氏だ。

 倉本氏と言えば・マッシー・の愛称で親しまれ、その存在はゴルフ界はもとより、広く一般にも浸透している。協会側は、知名度が高く、幅広い人脈を持つ倉本氏に協会の信頼回復を託した格好だ。同氏が掲げた「経営マニフェスト」の骨子は、底辺拡大事業の推進、PGAスクールの確立、組織改革、日本ゴルフツアー機構(JGTO)との連携の4つだが、それぞれの項目には課題も多く、一筋縄ではいかないのが現状だ。

 マニフェスト実現のためにレギュラーツアーからの撤退を表明した倉本氏の意気込みに迫った。 (聞き手=本誌・大和賢治、写真=西畑孝則)

日本プロゴルフ協会の方針1―反社会的勢力との絶縁

── 不祥事の再発防止はもちろん、ゴルフ人口減少という課題もあり、ゴルフ界は決して楽な環境にありません。そんな状況下にありながらあえて、会長選に立候補した理由は何ですか。

倉本 順風満帆の時であれば、改革はできません。どん底だからこそドラスティックな改革が推進できると思ったことが、会長選に立候補した理由です。逆に言えば、今回の問題が起こらなければ立候補することはなかったでしょう。

── 反社会的勢力との絶縁を宣言されていますが、実際問題として、会員が会う人間すべての素行は調べられないと思います。いかに担保するつもりですか。

倉本 全く分からないでレッスンやラウンドをしてしまった会員に対しては、不可抗力ですからわれわれはとことん守っていきます。ただ、相談もなく関係を深めるような会員については、協会から徹底的に排除していきます。

── 今回の不祥事の処分は除名ではなく退会というものです。反社会的勢力との絶縁は、協会としては、これまでも徹底指導してきたことですね。にもかかわらず接点を持ってしまった。処分が軽いという指摘は少なくありません。

倉本 もちろん、除名にするべきという意見もあったし、それは厳し過ぎる等、理事会の中でも意見は割れました。その中での結論が退会処分ということです。私たち会員からすると厳しいものです。

 会員資格を得るために、会員は長い時間と努力を重ねてきたことを考えると、退会という処分は相当厳しいものです。ただ、私が会長になって感じるのは、世間の目とわれわれの常識とは乖離があるのかもしれないということ。これからはそう思われないためにも、外部の意見を取り入れるべきだろうと考えています。これまで顧問弁護士がコンプライアンス委員長でしたが、今後は会員外の理事を委員長にしたいと考えています。

日本プロゴルフ協会の方針2―ゴルフ場、練習場との連携強化

── 倉本さんがPGA会長になられたことで、否が応でもJGTOの統合話が再燃します。

倉本 統合はないと思います。それよりも、まず私は連携を強化するべきだと思います。JGTOがPGAから独立した15年前は、ゴルフ界には勢いがあった。しかし、それ以降、業界は右肩下がりで推移しています。統合云々を言っている場合ではないのです。

── 具体的な連携とは。

倉本 JGTOの海老沢勝二会長には、2015年から「PGAツアー」という名前を使ってほしいと申し入れました。PGAツアーという名称は、米国でも使用されているなど国内のゴルフファンには馴染みがあるので、ツアーとして分かりやすい。残念ながらJGTOでのブランド訴求はできませんでしにほんぷろごるふきょうかいのほうしんた。ブランド力のあるPGAを名乗り、ツアーの再生を図りたい。

 次にホームページのリンク。これは単にリンクさせるのではなく、例えば倉本昌弘を検索すればレギュラーとシニア双方の成績が出る。2つのホームページにアクセスしなければならないのは、利便性が悪過ぎる。それができれば、今度は事務局の連携です。私の話と海老沢会長の意見も聞けるように同じビルの中に事務局を設けるのも1つです。

── ゴルフ人口の底辺拡大も重要課題です。

倉本 歴代会長も取り組み自体は行ってきたのですが、うまく機能できていない。その理由は、各々のゴルフ団体が個別でやってきたことにあります。単独では予算にも限界がある。一同が集まり、大きな予算の中でゴルフ人口増加への施策を推進する必要がある。ゴルフをやらない人が国内には1億人もいるのです。その掘り起こしを丹念にやっていくしかありません。そういう意味では、ゴルフ場あるいは練習場との連携も必要だと考えます。

── ゴルフ場といかなる連携を想定しているのですか。

倉本 ゴルフ人口が減った原因は、ゴルフが難し過ぎることにあります。他のスポーツに比べてとっつきにくい。次にお金が掛かる。最後に競技時間が長い。余暇としての運動は1クール1時間半が目安という統計も出ている。そういう意味では、1時間半で完結できるゴルフを考えていくべき。

 具体的な提案として考えているのは1ホール単位でプレーフィーを支払えるシステム。例えば18ホールで1万円のところを1ホール700円とか。ゴルフ場は大体2時半以降のスタートはありませんので、この空いている時間帯に、3ホールいくら、6ホールいくらというふうにホール売りをするなど、簡単にゴルフに入り込める環境づくりをしていくことも重要です。

日本プロゴルフ協会の方針3―協会組織の変革と情報発信

── 協会組織の硬直化も指摘されています。

048_20140422_PGA_P002倉本 会員数が約5200人という大所帯ですが、末端まで情報が行き届いていないし、末端の情報も吸い上げられていない。ロードマップを作り上げる秋までに、より多くの会員から情報を吸い上げると同時に私自身の言葉で情報を発信し、現状を検証しなければなりません。

 毎年、会員は増え続けているのですが、逆に「食べていけないので何とかしてください」という悲鳴が数多く聞かれます。その要因を一言で言えば、会員資格でやれることと、世間の求めているニーズがマッチしていない。

── 協会では「ビジネスセクション」を設け会員の職域拡大に努めてきましたね。

倉本 「ビジネスセクション」と言いながらすべて協会内で完結させようとしてきた。そもそも協会にビジネスマンがいないのにどうやって完結させられるのでしょうか。外部から講師を連れてきて、数字の話をしてもらったところで、成り立つとは考えられません。

 そこで私は外部の学校で、経理や財務、接客、営業等のスキルアップを図りたいと考えている会員に対し補助金を支給し、応援していきたい。ゴルフ場で必要とされているのは、ゴルフレッスンだけではありません。スキルを持つことで「レッスンと経理」「レッスンと接客」など幅広い職種に対応できることを売りにして、職場を紹介できればベストです。

 5千人すべてのスキルアップとなると時間がかかりますが、5人でも10人でも100人でもいいから向上心を持った人たちを私たちは引き上げていきたいと考えています。

 

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

葬儀業から脱皮しライフイベントのプラットフォーム運営企業へ―ライフアンドデザイン・グループ

古い体質が残り実体が見えにくい葬儀業界の中で、「パッケージ化された分かりやすいサービス」「家族葬など小規模葬儀に特化」「低価格だが高品質のおもてなし」「出店スピードの速さ」等を強みに事業拡大。人生の終末や死別後に備えた事前準備を行う。文=榎本正義 村元 康・ライフアンドデザイン・グループ社長…

人材領域で培ったテクノロジーを活用し社会課題を解決する―ビズリーチ

上場して分かったTOKYO PRO Marketのメリット―前田浩・ニッソウ社長に聞く

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

経済界が主催するベンチャー企業支援企画「金の卵発掘プロジェクト2018」でグランプリを受賞した草木茂雄・エムアールサポート社長。建設・土木というガテン系の領域でイノベーションを起こすための挑戦を追った。(吉田浩)草木茂雄・エムアールサポート社長プロフィール 測量とアートが結び付く「測量美術」とは何…

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

再エネ時代到来に向け、大石英司・みんな電力社長が目指す「顔の見える」世界

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年8月号
[特集] SDGsは江戸にある
  • ・「仁義道徳」 経済人に必要な「利益」と「倫理」
  • ・「利他」 「気候変動に具体的な対策を お金の流れが意識を変える」
  • ・「善の巡環」 高邁な理想を支える創意工夫と挑戦
  • ・「才覚、算用、始末、商人倫理」 SDGsの精神宿る江戸商人
  • ・「国利民福」 国が栄えれば人々も幸福になる
  • ・「先も立ち、我も立つ」 石田梅岩と商人道徳
  • ・「気丈」 学問は「治安」「エンタメ」「立身出世」──江戸庶民の教育事情
  • ・「心田開発」 二宮尊徳の報徳思想
[Special Interview]

 里見 治(セガサミーホールディングス会長グループCEO)

 日本初のIR事業への参入はエンターテインメント事業の集大成

[NEWS REPORT]

◆メガバンクからの陥落目前 みずほ銀行の昨日・今日・明日

◆巨大ドラッグストアチェーン誕生か 業界再編はココカラ始まる

◆カリスマ・鈴木修会長に陰り? ピンチを迎えたスズキの前途

◆G20農相会合で見えてきたスマート農業の未来像

[特集2]

 AI時代に稼げる資格

 今必要な資格、将来必要な資格はこれだ!

ページ上部へ戻る