政治・経済

来場者は2万3千人、運営は市民の委員会

 新潟県三条市の中心街が月1回、万を超す人波でごった返す。通りを歩行者天国にし、農産物やスイーツ、雑貨などの優れモノを揃えた露天市「三条マルシェ」が開かれるからだ。中心商店街の活性化を狙って立ち上げたこの催し、回を追うごとに話題を呼び、3年半で延べ57万人を超す集客力を誇る事業に成長した。趣向を凝らす企画、若者を巻き込む活動が、賑わう三条の名を県外に広め出した。

 風雪が緩んだ2月下旬、2013年度最後を飾るマルシェが三条市役所近くの厚生福祉会館周辺で開かれた。この日の出店数は48店で、会館内のホールや前庭に緑色のテントがズラリと並ぶ。朝取りした新鮮な農産物や地場産の食材を使ったスイーツ、手作りの手芸・工芸品や雑貨などを並べて売る野外市の始まりだ。

 開店の10時から人が集まり、売り手と買い手の掛け合いが始まる。舞台では吹奏楽や太鼓の演奏、キッズダンスなどが次々と披露され、買い物をしたり見て聞いて楽しんだりする雰囲気が会場全体に広がっていく。昼頃には通路が人で込み合い、肩が触れ合って買い物をするほどの混雑さ。前庭のスイーツ店には人だかりができ、いつまでも長い行列が続く。

 マルシェの話を聞いてやって来たという長岡市の大学生は、「どこからこんなに人が来るのか」と驚くほどの賑わい振りだ。この日の来場者は前年同期を9割も上回る2万3400人に達した。

 マルシェを運営するのは三条マルシェ実行委員会。当初は行政側がリードしたが、今は出店者や市民が参加して民間の活力を生かし自由な発想で事を処理していく。イベント企画から出店募集、テント(6千円)の貸し出しまですべてをこなしている。

 マルシェが始まったのが10年9月。この年の開催は2回だったが、11年度から5月~10月の毎月1回と1月あるいは2月の計7回になった。初年度の出店数は73店、来場者数は1万7千人にとどまったが、それ以降急増し、13年度は574店で、来場者が20万8千人と増えた。13年10月には1回のマルシェで9万8千人も集客している。

 「創業塾」で起業家育成

 短期間でこれほどの賑わいをもたらした理由について、三条市地域経営課の恋塚忠男課長は3つの要因を指摘する。

 第1はいいモノ、楽しいコトにこだわり、常に「賑わう空間づくり」に専念していることだ。いいモノを市民に提案するため、三条の内の魅力を取り入れるだけでなく、外の魅力も取り込む出店政策を堅持している。それが交流出店の増加に結び付く。よその自治体と連携し、各地の魅力ある物産や楽しい事業を持ち込んでマルシェで紹介するのが交流出店だ。現在までに北は青森・西目屋村から南は長崎・佐世保市まで42自治体からの交流出店が実現した。

 マルシェではいつも特設ステージで市民参加の演芸があり、道路上では書道などのパフォーマンスが演じられる。参加意欲は旺盛で、「10分1千円の参加料を払ってまでも出演に応じる」ほどの積極さだ。

 2点目は独自色のある催しでマルシェを彩っていること。その典型が「ごった鍋グランプリ」だ。三条産の食材を1品以上使った鍋を1杯300円で売り、うまさを競う大会である。12年度から始めたが、市民を巻き込みお祭り騒ぎに発展している。

 3つ目が若者の力だ。三条市には大学がないので、若者と言えば中高生のこと。その若者が、自主開発したオリジナルの菓子パンやクラフトの店を出したり、書道展を開いたり、ワークショップで街の未来を論じたりとマルシェに参画し始めた。現在、70人の高校生が「マルシェ部」を結成、率先して会場の設営や案内、特設ステージでの司会などをこなしている。

 月1回の単発の賑わい創出事業とはいえ、マルシェの活動で中心街の空洞化に歯止めを掛ける効果が生まれた。これを日常の賑わいづくりにつなげようと、次の取り組みが始まっている。

 12年度から始めた「創業塾ポンテキア」がそれだ。商店街の空き店舗に店を出す起業家を育成するのが狙いで、中小企業診断士や金融機関、先輩起業家などを講師に招き、経営の基礎知識やビジネスプランの作成、創業資金の調達方法、創業体験などを詳しく学ぶ。12年度(講座数5回)は34人が、13年度(同7回)は30人が受講した。両年度の受講生の中から16人の新規出店者を生み出した。

 昔からある市内の定期露天市「六斎市」との連携も始まった。マルシェを軸に恒常的な賑わいづくりを目指す多様な試みも次々と繰り出されている。

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