政治・経済

国内外の投資環境が改善しつつある中、マネックスグループは中長期戦略「グローバル・ビジョン」を掲げ、海外での基盤強化を加速させている。松本大社長は「グローバル展開は、日本の個人投資家のメリットにもつながる」と強調。「世界中で高水準のサービスを提供したい」とする同社の取り組みを追った。

国内証券で唯一米中にリテール顧客基盤を有する

 「株高基調で、年金基金をはじめとする機関投資家や、個人の懐は非常に温まりました。1990年の不動産融資の総量規制以来続いてきたデフレトレンドが転換したと私は見ています。これから企業、個人ともに前向きな投資が増えるでしょう」。

 松本社長は声を弾ませる。株式市場の活況の恩恵を享受し、ネット証券各社の業績は軒並み回復している。

 マネックスグループの2014年第3四半期決算は、傘下のマネックス証券の好調な業績が牽引し、大幅な増収増益となった。マネックス証券は投資情報の提供や各種セミナーによる投資教育を充実させるなど、顧客の多様なニーズに応じたきめ細かなサービスが好決算に寄与している。

マネックスグループ 松本 大 社長CEO

マネックスグループ 松本 大 社長CEO

 松本社長は、日本経済がデフレトレンドから脱却し企業が投資を一層加速すると予想。「インフレ下では意思決定を先延ばしできなくなるでしょう」と話す。

 マネックス自身も投資戦略を加速させている。現在、中長期戦略「グローバル・ビジョン」を掲げており、世界各国のグループ会社が連携して新たな金融サービスの構築に努める。

 「米国・欧州」と「中国・香港」の2地域において、順調に事業を拡大。松本社長は、「米国経済は景気回復とシェールガス革命によって持続的に成長するでしょう。中国でも一定の成長を維持できるとみています」と説明する。

 マネックスは2010年に香港のオンライン証券であるBOOM(ブーム)証券グループ(現・マネックスBOOM証券グループ)を、翌11年には米国ネット証券のトレードステーショングループを買収した。

 国内証券会社で米中双方にリテールの顧客基盤を有しているのは、マネックスだけ。BOOM証券は12カ国・17市場で取引ができる環境を提供している。また、グループとしては、将来、中国本土でネット証券事業を展開することを目指していく。

 松本社長がトレードステーションに期待するのは、同社が開発する先進的な取引システムだ。ダウ・ジョーンズ社が発行する投資情報誌は、同社の「アクティブ・トレーダー向けサービス」や「技術開発力」、「顧客サービスおよび顧客教育」を高く評価している。松本社長は、「世界一のシステムを海外各国に提供して、世界の証券市場に殴り込みを掛けていきたいですね」と意気込んでいる。

 12年には日本の個人投資家向けに米国株の取引プラットフォームをリリースし、今年2月からはダウンロード型の取引ツールも提供している。海外グループ会社のノウハウを国内に取り込み、そこで得た成果を再び海外で活かすといった好循環を目指している。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポート――中島優太(エベレディア社長)

 昨今、事業拡大や後継者対策などを目的とした企業同士のM&Aが増加している。同様にウェブサイトのM&Aが活発化している事実をご存知だろうか。サイトの売買で売り手にはまとまったキャッシュが、買い手にはサイトからの安定収益が入るなど、双方に大きなメリットがもたらされている。大手ITグループから個人事業主まで幅広い…

201712EVEREDIA_CATCH

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年1月号
[特集]
敗者復活戦

  • ・負けから何を学び、糧にしていくか
  • ・存亡の危機を乗り越えた「熱海」の逆転ストーリー
  • ・あの名門ブランドが、帰って来た(アイワ、ビクター)
  • ・「なるほど家電」を牽引する大手家電メーカーの早期退職組(アイリスオーヤマ)
  • ・関ケ原で敗れた立花宗茂はなぜ、返り咲くことができたのか
  • ・市江正彦(スカイマーク社長)
  • ・加藤智治(ゼビオ社長)

[Special Interview]

 三毛兼承(三菱東京UFJ銀行頭取)

 「旧来の商業銀行は構造不況業種 大変革で信頼と強さを持ち続ける」

[NEWS REPORT]

◆カードローン規制で稼ぎ頭を失う地方銀行の明日

◆12年ぶりのアイボ復活 名実ともにソニー再生は成るか

◆終身権力者も視野に入った習近平が恐れるクーデター

[特集]クルマが変わる、社会を変える

・これから始まる全自動運転 OSを制するのは誰だ!?

・車載電池の性能が左右するEV時代の覇権戦争

・冷える鉄鋼、潤う化学 クルマが変える産業構造

・トヨタ・日産・ホンダ・マツダ 主要4社「わが社の戦略」

ページ上部へ戻る