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井深大、大賀典雄がソニーで活躍できた理由――盛田昭夫

盛田昭夫氏

日本のものづくりの代表的な存在であったソニー。その礎を築いたのが井深大(1997年没)、盛田昭夫、両氏のコンビ。このインタビューは当時会長であった盛田氏に創業時のことを弊誌主幹の佐藤正忠が伺ったものだ。(1983年4月26日号)/構成:本誌・古賀寛明

井深大と全く違う性格の盛田昭夫

佐藤 ソニーは日本を代表する企業になりましたね。

盛田 井深さん(当時、名誉会長)の人柄にホレて、その理想を実現しようという人が集まった。それが社風になり、ここまできたという気がします。

佐藤 東京通信工業という、海のものとも山のものとも分からない会社に入った動機は。

盛田 海軍時代から井深さんとは一緒だったし、その時から気が合う仲だった。で、終戦後、私の逗子の家に訪ねてきてくれて「復員後の住所を教えてくれ」と言ったんです。

佐藤 終戦後の混乱期ですから、居場所が分からなくなる恐れもありますよね。

盛田 そう。私は井深さんと一緒に仕事をやるつもりだったから、連絡を取り合っていたんです。というのはね、2人とも海軍でしたから、日米の技術の差を痛感していたんですね。それで「これからは技術だ」と話し合っていた。

佐藤 父上がよく賛成しましたね。

盛田 いや、オヤジは酒屋にするつもりだったんです。で、井深さんと前田多門さん(当時、社長)の2人が汽車を乗り継いで田舎(愛知県常滑市)まで来てくれて、オヤジを口説いてくれた。それでオヤジも「前田さんから見込まれたのだから、やってみるか」と賛成してくれたんです。たまたま、弟が海軍から復員してきて「兄貴の代りにボクが家を継ぐ」と言ってくれて、井深さんと一緒に仕事をすることになったわけです。

盛田昭夫(もりた・あきお) 愛知県生まれ。1946年に井深大氏と東京通信工業(ソニーの前身)を創立。日本でも有数の国際派経営者として知られた。(1921〜99)

盛田昭夫(もりた・あきお)・写真右
愛知県生まれ。1946年に井深大氏と東京通信工業(ソニーの前身)を創立。日本でも有数の国際派経営者として知られた。(1921〜99)

佐藤 一大決心ですね。

盛田 私の決心は決まっていた。オヤジのほうが大決心だったと思いますよ(笑)。

佐藤 ソニーの原動力は、何といっても井深さんと盛田さんのコンビだったと思います。井深さん1人だけだったら、ここまで大きくなれなかっただろうと思います。やはり、井深さんを補佐して実現していく人がいないと、会社は大きくなれません。

盛田 われわれは仕事の上では言い争いもしますが、根本的には100%信頼し合っていますからね。それに性格は正反対なんですが、ものの考え方は一緒なんですね。

佐藤 ゴルフでいえばウッドとアイアンのように性格が違ったほうが組み合わせが、いいんですよね。

盛田 そう、両方がそろっていていいスコアがでるんです。

佐藤 2人が違うからこそ、第3の人格が出てくる。

盛田 それと、創立以来、人に恵まれました。前田多門さん、万代順四郎さん、田島道治さん、増谷麟さん、それに私のオヤジと。こういう人たちが若い者たちを応援してやろうとしてくれたんです。毎月1回役員会を開いて、うどんをすすりながらわれわれの報告を聞いてくれたんですね。

井深大も大賀典雄も変わり者だった

佐藤 今度、ソニーの社長になった大賀(典雄・2011年没)さんとの出会いは。

盛田 彼が芸大の学生のときに、うちのテープを芸大に納めたんです。先生はとてもいいと言ってくれたのに、声楽科の学生だった彼が「ここがダメだ」と指摘するんです。それが技術的にも全部、当たっているんですね。そうやっているうちに、すっかり仲良くなっていた。最終的には、「二足のわらじをはいてもいいからこないか」と言ってきてもらったんです。

佐藤 社長にされたのはどういう理由ですか。

盛田 チームワークは大事だが、社長になるには何かサムシングがないといけない。大賀君には身に付けたものがあるんです。で、井深さんや社外取締役の方とも相談して決めたんです。

佐藤 ソニーという会社だから、声楽家であった大賀さんの今があると思いますよ。

盛田 ほかの会社では生きていけなくても、うちの会社なら生きていけるというのが、井深さんの理想だったんですよ。

佐藤 落ちこぼれでも何かいいものが1つあればいいと。

盛田 そうです。井深さんも東芝を落ちたんですからね。井深さんも私も大賀君もみんな変わり者なんですね。ほかにも変わり者はいっぱいおるんですが、そういう人たちが型破りでもいいから、生地で働ける会社にしたいというのが、ソニーの理想ですね。

 

 
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