マネジメント

できる営業マンは質問によって相手への関心を示す

 

 できる営業マンというものは、昔から質問が上手、と言われてきた。お客に何かを「売る」以前に、「この人は何を求めているか、何に困っているか」を知ろうとする。

 その「知る」手段が、相手の価値観や生き方、生活などに対する質問なのである。

 確かに、下手な営業マンは、相手が誰であろうとお構いなしに、いきなり自分の売り込みから入る。商品説明から始める。

 これでは営業マンが自分の売り上げしか考えていないことが見え見えなので、お客も引いてしまう。当たり前だ。

 ところが相手のことを尋ねる姿勢には、「私はあなたに関心があります」という、気持ちの伝達が底流に流れている。コミュニケーションの基本であり、ビジネスの本質がある。

 ビジネスと恋愛は同じだ、と言った先輩がいるが、関心を持つ、すると相手からも関心を持たれる、という関係は、まさに恋愛の入り口そのものだろう。

 実は、この関係をそのままビジネス世界に持ち込んでいるのが、前回も登場していただいた(株)アースホールディングス代表・國分利治さんなのだ。

 國分さんは、入社を希望する人に例外なく「あなたは何になりたいの?」と聞く。社長になりたいのか、店長なのか、スタイリストなのか、まずはそれを尋ねるのだ。

 

質問を聞きっぱなしにしない

 

 押し付ける経営者は、もう通用しない、と國分さんは言う。企業コンセプトが「統一をめざさず個性を伸ばす」であり、同社では個性発揮が最優先する。

 個性は千差万別だ。だから、才能も人生の目標も、生活態度も全部、人ごとに違う。

 それを最初に聞いてあげるのだ。「君はこの職種に向いているから、これをしなさい」という押し付けではない。実はこれは、相手の人生計画を尋ねているのだと、私は理解している。

 これが「年収1億円の流儀」というものなのだろうと、私は受け止めている。

 つまり、とてつもなく稼ぐ人たちは、自ら、未来のビジョンを綿密な人生計画に落とし込んでいる。

 自分がそうであるから、ごく自然に新入社員も同じようにしてもらいたいと考える。その気持ちから出てくるのが、将来の姿に対する質問なのだ。

 むろん、聞きっぱなしはしない。答えが出たら、それに至る道筋をきちんと示してあげ、なりたい姿に、できるだけ早く近づくノウハウを「惜しみなく与える」のが國分さんの流儀なのだ。

 私たちが日常的に展開している営業、マーケティングも、ここに学ぶ点があるだろう。

 

 質問をしない人は人生に行き詰まる

 

 売り上げを上げるにしても集客にしても、マーケティングでは、とどのつまり人の心、感情を知る以外にない。相手を知るには、質問をして情報を取るほかないだろう。

 質問には、オープン質問とクローズ質問があることを知っておいたほうがいい。

 オープン質問とは「今、お困りのことがありますか?」のような、ちょっと抽象的な、相手に考えさせるものだ。

 クローズ質問は範囲を狭めていくもので、例えば、「どんな人材を必要としていますか?」「それは管理職ですか?営業職ですか? 技術職ですか?」のようなものになる。

 ケースバイケースで、オープンとクローズを繰り出していけばよい。

 質問は大事だ。私は今までの経験で、経営者でも営業マンでも行き詰まる人というのは、人に質問しない人であることを知っている。

 万一、行き詰まりを感じたら、相手に関心を抱いて、何か尋ねてみることだ。そこから何か、気づきが生まれるはずである。

 

 [今回の流儀]
質問の中身を考えるだけで、相手との距離が狭まる。

 

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年3月号
[特集]
環境が経済を動かす

  • ・総論 災い転じて福となせるか 持続可能な社会の成長戦略
  • ・越智 仁(三菱ケミカルホールディングス社長)
  • ・100年後を考える 世界最大級の年金基金「GPIF」
  • ・金融業界はこう動く
  • ・脱炭素化の遅れがはらむ「座礁資産」の危険性
  • ・脱炭素化で移行する「地域循環共生圏」とはどういう社会なのか!?

[Special Interview]

 中田誠司(大和証券グループ本社社長)

 「SDGsを経営戦略の根幹に据えることで企業は成長する」

[NEWS REPORT]

◆稲盛哲学を学ぶ盛和塾解散を塾生たちはどう聞いたか

◆米中経済戦争の象徴となった「ファーウェイ」強さの秘密

◆EV時代にあえてガソリンエンジンにこだわるマツダのプライドと勝算

◆それは自由か幸福か——「信用スコア」で個人の信用が数値化された世界

[特集2]関西 飛躍への序章

 大阪万博開催で始まる関西経済の成長路線

ページ上部へ戻る