政治・経済

 「政治家の言葉」を使いこなす話術を身に付けた小泉進次郎

イラスト/のり

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 「父は父ですから」

 今年2月、記者たちの質問にそう答えたのは小泉進次郎復興担当政務官。

 父・小泉純一郎元首相は昨秋から突如原発ゼロ運動の旗を振り始め、安倍政権を批判。そして2月の東京都知事選挙では、進次郎が自民党推薦の舛添要一候補に異議を唱えたことから、純一郎が応援した細川護煕元首相を、親子で応援するのではないかと注目を集めた。冒頭の質疑はその知事選のときのものだ。

 進次郎の答えを多くのマスコミが、《父は父、自分は安倍内閣の一員であり一緒に活動することはない》と伝えた。

 しかし、私がずっと進次郎を取材してきて感じているのは、「進次郎の言葉」は、いまや極めて成熟した「政治家の言葉」に成長しているということだ。

 「彼の話術はもはや政治家として一流の域。例えばまずい話はスッと流す。落としどころを見つけるためにわざと挑戦的なことを言って永田町の反応を見たりすることができるんです」(自民党三役経験者)

 つまり、額面どおりではない、「父は父」にもウラがあるのだが、それは後述する。

 実は、進次郎は初当選直後から、「政治家の言葉」がいかに重要か意識してきた。言葉は有権者とコミュニケーションをとる最も重要な手段であり、論戦を挑む武器であり、政治活動の基本。進次郎は私にこう話した。

 「政治家の言葉というのは命。だから鍛えなければならない。私はぶら下がり取材は率先して受けるんです。突然弾が飛んでくる。それにとっさにどう答えるか。そのためには世の中で何が起きているか常に勉強もしておかなければならない。ぶら下がりは自分を鍛える最高の場なんです」(2011年12月)

 こうして実践を積み重ね、進次郎の言葉はますます研ぎ澄まされてきたと言っていい。

 新次郎の個性を私なりに表現するなら、「わきまえながら最高を目指している」とでも言おうか。2回生議員らしく、その則を越えず、でも2回生という囲いの中では最高を目指すことに徹底しているということだ。元官僚の中堅議員が解説する。

 「彼ほど人気があれば、飛び級で一気に副大臣起用などを安倍首相や菅官房長官も考えていた。しかし毅然と断る。『私は2回生ですから』と。こうした姿勢は実は先輩議員たちに安心感を生む。進次郎が自らの身を脅かす心配がないからだ。だから目上の議員はみんなが褒める。可愛い、分をわきまえた奴だと。そして将来の総理候補だと誰もが言うのはそこにあります」

 組織の中で確実に自分をレベルアップしていく術だ。

 小泉進次のライフワークと原発との向き合い方

 さて、そうした進次郎のライフワークは、東日本大震災の被災地復興だ。進次郎は、被災直後から土曜・日曜を使ってマイカーで被災3県に入り続けた。そこで見た津波にのまれた町や失われた多くの命、被災者たちの現実。進次郎はこう話した。

 「通っているうちに政治の原点が分かりました。困っている人を助けるということに尽きるんです。私なんかが行っても、手を握って涙を流して……。私は自分の無力を感じると同時に、この方々のために何ができるのかと。それが政治です。私には夢があって、10年後に、被災地の人たちと酒を飲みたい。そのときに笑えるように、逆算していまやるべきことを全力でやると決めました」

 進次郎は野党であったにもかかわらず失業手当の改善を国会で追及し実現させた。通っている中で、津波に襲われた中小企業の事務所の片づけを手伝いながら経営者に話を聞かされ即国会で取り組んだものだった。

 被災地には福島第一原発がある。進次郎が党青年局長として交流してきた福島の自民党地方議員が言う。

 「私たちは知っていますが彼が原発OKのはずはない」

 さて、冒頭の「父は父」に戻ろう。進次郎は一体この先の政治活動をどう考えているのか。

 「彼は、原発ゼロの父親のことを『父は父』と言った。そして『自分は自分』と。禅問答のようですが、あの言葉は、つまりそれぞれ好きに動いて気がついたらたまたま同じ船に乗っていたなんていうこともありますよという意味です。進次郎さんは反原発で、いずれそう動いてくれると被災地の仲間はみんな知っています」(同議員)

 純一郎・細川のコンビは、「都知事選は通過点。原発ゼロで政界再編を仕掛ける。そのときのリーダーの1人に進次郎を考えている。特に細川さんは熱心で、『彼(進次郎)が動いてくれれば一気に政界再編が進む』と話している」(細川周辺)という。

 進次郎の「言葉」にはこれからも注目だ。

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