政治・経済

菓子づくりを直に拝見体験工房に参加者殺到

 産業観光が全国的に広がる中で、子どもたちを魅了するのが食品や文具・雑貨の工場見学だ。特に人気なのが工場体験型である。食品や文具類の手作り体験やクイズを楽しみながら、原料から製造工程、箱詰めなどを間近で見学できる工場に子どもらが殺到する。江崎グリコ(埼玉県北本市)、赤城乳業(同本庄市)、イワコー(同八潮市)など、首都圏のあちこちに人気のビッグスポットが出現している。

 JR高崎線の北本駅からバスで15分、中丸地区に立つ江崎グリコの工場は、福井など既存3工場を集約して2012年春に稼働した基幹工場だ。おなじみのポッキーを1日7万個、プリッツを同5万5千個も作り、出荷する。ここに設けた見学施設が、「グリコピア・イースト」だ。

1500点も並ぶ“おまけ”(おもちゃ)に目を輝かせる子ども(グリコピア・イーストで)

1500点も並ぶ“おまけ”(おもちゃ)に目を輝かせる子ども(グリコピア・イーストで)

 見学に先立ってまず、「カレッジホール」でグリコの歴史や創業の秘話などを学んだ後、20人ごとに別れて工場内を見学する。3階のポッキーストリートではポッキーの包装、小分け、袋詰めなどが、6階のプリッツストリートではプリッツの全工程が間近で見られる。

 プリッツの生産ラインでは生地をうどんのように細かく切っていく様子や、オーブンで焼いたりする状況が手に取るように分かる。案内嬢のテンポ良い説明に、子どもたちは目を輝かす。

 目玉は何といってもクイズと手作り体験である。お菓子にまつわるクイズを参加者が競い合う「クイズチャレンジツアー」と、ジャイアント・ポッキーを菓子材料で飾る体験工房の2本立て。有料で1回の定員が20人という体験工房は抽選で参加者を選ぶほどの人気ぶり。

 「ミュージアムゾーン」にはおもちゃやアニメキャラクターなど1500点のおまけが年代別に展示されており、ここも見どころの1つだ。

 グリコピア・イーストは1988年以来、累計で160万人以上の来場者を集めたグリコピア神戸の東日本版だ。12年10月のオープン直後から人気を呼び、年間目標の5万人を7カ月で達成、その後も勢いは衰えていない。釜鳴秀明館長は「14年2月で累計11万人を超えた」と話す。

 工場案内は1日に4回で、定員は毎回80人。入場は無料だが、予約制なので、応募者の多い土、日曜などは5カ月先まで予約で満杯だ。

 地域別にみると、埼玉県内からの来場者が全体の70%と最も多く、年齢別では小学生以下が40%を占める。小学生は校外授業の一環で訪れる機会が多く、筆者が訪れた日も市内の小学生が訪れていた。

 釜鳴館長によると、校外授業で初めて訪れた小学生が「1回だけではよく分からない」と言って、家族連れで再訪するケースも多いそうだ。リピーターが多いのが、グリコピア・イーストの特徴だ。

 一方、アイスキャンディー「ガリガリ君」を生産する赤城乳業(井上秀樹社長)も、本庄市の「千本さくら〝5S〟」工場で1日2回、工場見学を受け入れている。定員は各回30人で見学には90分かかる。

 11年7月の工場公開以来、14年3月までに見学者が4万人を突破した。こちらも土、日曜日は予約でいっぱいだ。

 人気工場は食品、文具、脚光浴びる消しゴム工場

 モノづくりの重要性を県民に知ってもらおうと、産業観光に力を入れているのが埼玉県だ。同県は工場を一般公開している企業、モノづくりの啓発に積極的な企業を「彩の国工場」に指定してきた。指定工場は現在、518カ所に上り、見学者が年20万人近くに達するという。

 12年度の調査で見学者の多かったのは、1位がグリコ、2位が清酒醸造の矢尾本店と続き、半数を食品企業で占めている。文具類も目立つ。上位工場では、「体験型を織り込んだ見学スタイルが増えている」と県の担当者は話す。

 第6位にランクされたイワコーは八潮市に本社と工場がある年商約10億円の文具メーカーだ。乗り物や動物、スイーツなどをテーマにしたかわいい「おもしろ消しゴム」を従業員50人で1日10万個(1個50円)も作っている。

 工場見学は創業者の岩沢善和さん(80歳)が20年前、校外学習用に公開したのが最初。現在は毎週土曜日に3回、35人ずつ受け入れるが、親子連れを中心に年1万5千人も押し寄せるほどだ。

 工場見学とその後の手作り教室を利用して、岩沢さんは300種類の商品はすべて自社開発だよとか、1つの金型開発に500万円も掛かるんだとか、中国製の類似品が横行して困るなどと業界の現状を子どもらに説明する。

 工場見学には人件費を含め年1千万円も掛かるそうだが、岩沢さんは「子どもは国の宝。まじめに育てていきたい」と強調していた。

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