政治・経済

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の漂流が現実味を増している。4月24日の日米首脳会談は協議の進展を強調したが、豚肉などの関税撤廃・引き下げの調整が難航して「大筋合意」は断念した。

 交渉参加12カ国は5月12日からベトナムで首席交渉官会合を開き協議を再開する見込みだが、経済産業省内からは「日米の対立が解けなければ議論は進まない」と早くもあきらめの声が上がる。

 「もう残りの課題で、日本側が米国の要求をすべて飲むしか膠着打開策はない」。経産省幹部は首脳会談直前の4月下旬、こう漏らした。

 日米の対立が鮮明になった2月のシンガポール閣僚会合以降、ほかの参加国は「日米協議の結果を見極めようと交渉を中断してきた」(通商筋)。

 このため日米は首脳会談で一定の成果を演出して交渉再開に「弾み」を付け、一気に妥結への道筋を付けるシナリオを描いて協議を重ねてきた。だが、焦点の豚肉や、チーズなど一部乳製品の関税撤廃・引き下げをめぐりり、日米の主張は平行線のまま。

 豚肉は、安い輸入肉ほど関税が高くなる日本の「差額関税制度」は維持するが、関税の水準をめぐって妥協点を探る努力がぎりぎりまで続いた。ただ、日本には豚肉を含む農産品5分野の関税を死守する国会決議があるのに対し、米国は11月の中間選挙を控えて畜産団体の圧力が強まっている。「日米それぞれが国内事情を抱えて(主張が)ぶつかり合っている」(甘利明TPP担当相)状態だ。

甘利明TPP担当相

甘利明TPP担当相

 日米首脳会談を踏まえ、12カ国は約3カ月ぶりに交渉を再開する。既に5年目に入った交渉に何とか妥結の道筋を付ける狙いだが、「日米協議が合意に近づかなければ、各国ともまとめに入らない」(通商筋)。

 6月以降は各国が集まる国際会議も限られる上、各国の夏季休暇もあり、交渉の進展は望めないのが実情。12カ国の協議再開をうまく軌道に乗せられなければ、「TPPは瀕死の状態に陥る」(同)との懸念は強い。

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