マネジメント

ちょっとだけ賢くやれば生き残れる

0520_20140527_tokusyu4_02 以降は、派遣事業で得た資金を元手に、M&Aの仲介、レンタカー会社買収、メディカルケア会社の買収、旅館の再生と次々に規模を拡大していくことになる。15年3月期には売上高100億円と、最盛期の水準に戻る見通し。予言どおり、鮮やかな復活を遂げた。

 「商売の失敗は山で遭難するわけではないので、マイナスではなくゼロに戻るだけ。挫折したと大騒ぎしている奴はただサボッているだけ。中途半端にカッコつけたがるから、ゼロからやり直せない。僕なんかは不安定な生活をむしろ好んでいますから。チマチマ賭けずに、リスクを最大限に取って、リターンは倍になるから、短期間で立て直せたんです」

 構造不況業種と言われる出版事業にも参入した。勝算について尋ねると、南原氏は

「日本の人口が減っていく中、棺桶屋以外はすべてが不況産業。そんなことを言っていたら、何もできなくなる。徹底的な合理化を行うなど、緻密な経営を行えばちゃんと成長できます」と、言い切る。

 アイデアマンとしての能力は健在だ。例えば旅館の再生を手掛けた時のこと。家族風呂と隣接していた客室とをつなぐ工事を行って客室露天風呂にし、常に満室状態の大人気の部屋につくり変えた。

南原竜樹

以前より今のほうが起業家にいいアドバイスができる

 さらに、旅館では「FLコスト(食事の原材料費と人件費)」を下げるのが常識だが、むしろ料金に見合わないほどの料理を提供することで評判を高め、客室稼働率を高めた。また、買収した沖縄のレンタカー会社でも、それまでハイシーズンとオフシーズンの2種類しかなかった料金体系を見直し、何段階にも細分化することで顧客を増やすことに成功している。

 「僕に言わせると、ちょっとだけ賢くやれば会社は生き残っていけるんです。普通のことをきちんとこなしていない経営者が日本には多過ぎる」と、南原氏は言う。

 どん底に落ちる前と今とでは、経営者として変わった部分があるのだろうか。この質問に南原氏はこう答える。

 「以前は車が大好きで、仕事で遊んでいるようなものでした。今手掛けている事業もそれぞれ好きですが、一歩引いた目で経営ができる。例えば、以前は自社広告の写真に自ら指示を出したり、営業マンの頭越しに自分で車を売ったりしていました。でも、それは売上高100億円の企業の社長がすることではないですよね。今は、大人の経営ができるようになりました」

 そして、こうも言う。

 「経験を重ねているぶん、テレビに出たら以前より今のほうが(起業を目指す人に)いいアドバイスができるでしょうね」

(文=本誌編集長・吉田浩 写真=森モーリー鷹博)

転落と復活を経て——南原竜樹(LUFTホールディングス社長)(前編)

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