政治・経済

幸手市に大型工場団地出足好調、完売の勢い

幸手中央地区産業団地

圏央道に隣接して団地づくりが進む(幸手中央地区産業団地)

 外環道(東京外環自動車道)や圏央道(首都圏中央連絡自動車道)など高速道の整備が進む首都圏で、自治体による工場団地づくりが盛り上がっている。埼玉、茨城両県が圏央道の、群馬県が北関東自動車道の沿線で団地造成を急ぎ、千葉県も18年ぶりに団地を開発する。企業立地の回復を視野に各県が企業の受け皿作りに走り出したもので、企業誘致競争もまた再燃する。

 東武日光線の幸手駅から車で10分、圏央道・幸手ICの隣接地で埼玉県企業局が造成中なのが、「幸手中央地区産業団地」だ。総事業費は160億円で、面積は県内でも最大級の47ヘクタールを誇る。2015年度中に完成するが、県経済を支える主力団地にしたいと関係者は意気込む。

 A地区、B地区の2つから成る団地のうち、A地区は14年1月、早々と先行分譲を始めた。企業側の反応は上々で、募集区画数13に対し7社が11区画分を応札。雇用創出効果の大きい食品製造業と物流企業が大勢を占めている。

 B地区の一部も14年4月、募集を始めたが、企業の評判は極めて良く、企業局は「完成前にすべて、完売できるのでは」(守田和正・地域整備課長)と、強気の姿勢を見せる。

 幸手市には現在、2カ所の工業団地に57社が進出しているが、総じて小ぶりな企業が多い。それだけに、大企業の進出が予想される新団地に地域の期待が高まる。

 そんな期待に応えようと同市は、「産業団地整備推進室」という専門部署を新設するとともに、市独自の立地優遇制度を設けるなどの受け入れ態勢を整えてきた。関根一勝室長は「県と連携して企業を誘致し、雇用の創出と税収の確保を図りたい」と話すが、同時に「定住人口が増えるよう、企業誘致をまちづくりに生かす」戦略も描いている。

 幸手中央地区に限らず、埼玉県はこのところ、圏央道沿いに工業団地を相次いで造成してきた。川島インター(47ヘクタール)、菖蒲南部(14ヘクタール)、白岡西部(13・6ヘクタール)、騎西城南(16ヘクタール)などがそれだ。14年度中に県内全線で開通する圏央道を、企業誘致の絶好の機会にしたいとの判断が、団地造成を急ぐ大きな理由だ。

千葉で18年ぶりの造成茨城は市町が造成合戦

 その企業誘致だが、埼玉県はここ数年、戦略的な工場誘致計画を立てて精力的に取り組んできた。05年1月からの「企業誘致大作戦」が最初で、続いて「チャンスメーカー埼玉戦略」(08年度〜09年度)、「同・埼玉戦略Ⅱ」(10年度〜12年度)を実施し、現在は「同・埼玉戦略Ⅲ」(13年度〜15年度)を推進中だ。

 その都度、数値目標を掲げて活動してきたが、成果は順調に上がっている。「埼玉戦略Ⅱ」では3年間の誘致目標100件に対し、201件と2倍以上もの超過達成だった。企業立地課の大山直宏主査は「201件の投資総額は3111億円、新規雇用数は7344人に上る」と、経済効果の大きさを強調している。

 3年間で150件の誘致目標を掲げる「埼玉戦略Ⅲ」も好調に滑り出し、13年4〜12月間だけで66件もの立地が実現した。企業の投資意欲が回復してきた今、工業団地の完売が目立つ同県にとって、用地確保が今後の課題となる。

 埼玉に遅れまいと各県も団地開発に走り出し、自治体間で造成合戦が起こっている。

 1例が千葉県だ。圏央道沿いに「袖ケ浦椎の森」(50ヘクタール、事業費44億円)、「茂原にいはる」(42ヘクタール、同42億円)の2団地を15年度中に着工する方針だ。県直轄の団地開発は実に1997年以来のこと。

 12年度の企業立地件数が全国で第3位、13年度上期には全国第2位を確保した群馬県も、北関東自動車道沿いの伊勢崎市で「伊勢崎宮郷」団地(58ヘクタール)の造成を決断した。既存団地の保有分が残り少ないというので、同県は新規開発地点の調査も急ぐ方針だ。

 一方、茨城県では県西部の市町の間で工業団地づくりがブームだ。日野自動車が16年度までに古河市への全面移転を決めたこと、圏央道が15年度に全県で開通することなどから、県西部で自動車関連や物流企業の立地が相次ぐと見ているためだ。

 五霞町と境町が圏央道のIC付近でそれぞれ13ヘクタール級の新団地を造成するほか、常総市も圏央道沿線で新団地を検討、農・工融合型の企業誘致を目指している。

 中でも意欲的なのが坂東市だ。圏央道沿いの農地に106億円を投じ、「半谷・冨田」団地(74ヘクタール)を14年度後半から着手するほか、15ヘクタールの弓田開発事業ももくろむ。事業推進の専門部署を庁内につくるとともに、「土地開発公社も新設する」とやる気十分だ。

 産業集積という実りの秋へ向けて、各県で種まきの春がしばらく続きそうである。

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