マネジメント

 私が駆け出しの頃、第一線で活躍しておられた同業の先輩には、大病を経験され、ニヒルな用心棒の風情のある方が多くおられました。そうした方に限って税務の発想が柔軟で大胆。しばしば、「おッ、スゴイ」と感心させられるアイデアを頂きました。今回は、その中から、今でも通用するアイデアを紹介します。

 

発想の転換 心得1 「貸倒」処理は税理士泣かせ

 「本郷さん、〝貸倒損失〟を損金で処理しようとすると大変だよ」︱︱これは同業の先輩から頂いた言葉です。

 確かに、税務上、「貸倒損失」の損金算入には高いハードルがあります。税法上の通達(※)に合致するような事態︱︱すなわち、「債務者である会社が完全に消滅する」といったケースは、実務上、まれにしか起きないからです。もちろん、債権を放棄すれば、比較的楽に損金に算入できますが、それは経営者にとって腹立たしいことでしょう。となれば、法的に債権を残したまま損金処理を行うことがキモとなりますが、それがなかなか難しく、おまけに貸倒損失の税務調査も厳しい。くだんの通達は実に税理士泣かせの規則なんです。

 

発想の転換 心得2 「貸倒」は売り上げ修正と見なす

 では、貸倒損失はどう処理するのがよいのでしょうか。先輩の答えはこうでした。

 「単価是正、売り上げ値引きと考えるとラクだよ」

 この言葉を聞いたとき、「この先輩は天才だ」とつくづく感心しました。そう、督促しても取れない「売掛債権」は、売り上げ修正(単価訂正・値引き)にすればいいんです。

 必要なのは発想の転換。持つべきものは優れた先輩、ということです。

 

※【法人税法基本通達9­–6­–1〜9­–6­–3】:税務上、貸倒損失の処理が認められるのは次の3つの場合のみ。

●9­–6­–1/法律上の貸倒れ:債権の全部又は一部が法律上消滅し、回収不能となった場合

●9­–6­–2/事実上の貸倒れ:債務者の資産状態等から見て債権の全額が回収できないことが明らかになった場合

●9­–6­–3/形式上の貸倒れ:売上債権について取引停止など、一定の事実が生じた場合

 

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