マネジメント

 昔、プロ野球のある有名選手が、年俸交渉で「手取りで、これだけ欲しい」と主張したところ、それがマスコミにリークされ、「がめついヤツ」と叩かれたことがあります。

 しかし、私に言わせれば、その選手の主張は実に真っ当です。スポーツマンとはいえ、プロなのですから稼ぎに敏感になるのは当たり前で、税引き後の手取りを気にするのが当然なんです。ということで、今回は、「手取り」を重視することの大切さについてお話ししましょう。

心得1 ケイツネ重視は非効率

 20年ぐらい前のこと、あるビジネス誌の記事を読み、衝撃を受けました。その記事の内容はこうです。

 「日本の会社は、経常利益(ケイツネ)をどう出すか、どう増大させるかに心血を注ぐが、ケイツネ後の税金については無関心。対する海外企業は、税引き後の利益である『手取り』を重視する」

 言うまでもなく、手取りを多くするのが、商売のキホン。その観点から言えば、海外企業のやり方のほうが賢いと言えるでしょう。なぜならば、ケイツネを増やすには、全社員を巻き込んだ努力が必須ですが、税引き後の手取りを増やすには、数人の知恵者による節税対策で事足りる可能性が高いからです。

 実際、私は以前、ある外資系グローバル企業の会計・税務の現場にかかわったことがあります。その会社は、日本国内でモノを作り、販売しているにもかかわらず、伝票を低課税国3カ国に駆け巡らせ、巧みに節税をしていました。そのやり方を目の当たりにしながら、「日本企業は税金で国際競争に負けるかもしれない」と感じたものです。

心得2 やはり大切「手取りはなんぼ」

 「手取りでなんぼ?」は、重要な経営視点です。仮に1兆円の利益を出すトヨタがもっと税金の安い国に本社を移せば、それだけで1千億円単位で手取りを増やすことができ、工場1個分の費用を捻出することが可能になります。その意味でも、利益が出たときは真剣に税引き後の手取りについて考えてください。それが不況への抵抗力を高めることにもつながるのです。

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