[うまいを売る! 農水産物輸出1兆円プロジェクト]
「ユリ根」が海を渡る--人口1万人、北海道・美瑛町の挑戦
2014年6月2日

アジア市場で人気の高い日本の食品や農水産物。その生産地ではどのような取り組みを行っているのだろうか。観光と農業が産業の中心である北海道の美瑛町を訪ねた。
ユリ根の輸出は独自路線、きっかけは「縁」
北海道のほぼ中央に位置する上川郡美瑛町は農業と観光が産業の中心である。人口わずか1万人の美瑛町でも農産物の海外輸出を行っているという。主な輸出品はユリ根。日本では茶わん蒸しに入っていることでおなじみかと思うが、焼くとモッチリ、ホクホクとした食感のジャガイモに似た、晩秋から冬にかけての贅沢な味だ。
輸出先は台湾で、輸出が始まったのは、今から7年前の2007年ごろ。昨年度は1ケース5㌔㌘のものが4千ケース出荷された。町全体で1万8千ケース出荷する中の2割強に当たる。台湾でも高級食材だそうで揚げ物、炒め物に利用され主に現地の富裕層に買われるのだそうだ。
ところで、なぜ、美瑛町のユリ根が台湾へ出荷されるようになったのであろうか。その経緯を「JAびえい」の代表理事専務の熊谷留夫氏に聞くと、「私の友人がたまたま台湾の大手企業のオーナーと親しかったのが縁で、独自に輸出を行うようになりました。彼がスーパーマーケットを70〜80店舗ほど持っていたので、まずは安定的に量が供給できるものをリクエストされました。中でも気に入られたのがユリ根。美瑛のユリ根は大玉で、大きいものが喜ばれる台湾に合っていたようです」
ただ、ユリ根を生産するのは大変だ。生産農家の柏倉秀伸氏に話を聞くと、「ユリ根は実は手間がかかる作物です。元種まで入れると出荷するまでに5〜6年かかるんです。さらに、最も大変なことは一度収穫した畑は10年以上休まさなければなりません」
手間がかかることや畑を休ませなければならないこともあり、生産量はあまり伸びないのだそうだ。広大な畑を必要とするため、日本の生産量の95%が北海道産というのも分かる。
柏倉氏は台湾へ視察に行ったそうで、「ユリ根がこんなにおいしいものだとは思っていなかった」という現地での評価に自信を深めたという。
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