テクノロジー

「金の卵発掘プロジェクト」とは将来の日本経済を背負って立つ人材を発掘し、日本を元気にするためのビジネスプランコンテスト。本連載では2013年の選考会で審査委員特別賞を受賞した企業について紹介していく。
「金の卵発掘プロジェクト」フェイスブックページはこちら

石井貴基

石井貴基(いしい・たかき)
1984年北海道札幌市生まれ。福島大学経済学部卒業後、リクルート(現・リクルートHD)に入社。11年にソニー生命保険に転職し、ファイナンシャルプランナーとして地方のあらゆる世帯の家計コンサルティングを行う。その際、悪化する地方の経済状況と家計における教育費の高さに課題を感じ、12年3月に上京。株式会社葵を創業し、誰でも無料で学べる中学生向けオンライン学習塾アオイゼミをリリース。14年から高校講座も開設。

石井貴基氏は語る IT革命の環境が教育現場に整う

 インターネットが普及してもう20年近くになり、現在さまざまなサービスが私たちの身の回りにありますが、教育産業では、今に至るまでITの普及は進みませんでした。

 そのハードルとしては「教育」特有の意思伝達の難しさや、生徒の理解度に対するフィードバック、そしてPCなどのデバイスやインターネット環境が教育の現場に届かなかったことが挙げられます。

 しかし、スマートフォンが中学生・高校生にも普及し、リアルタイムで授業を配信する技術も普及してきました。ようやく教育にもIT革命が起こる環境が整ったのです。そこに着目して、インターネットに特化した学習塾が私たちの「アオイゼミ」です。

 アオイゼミはPC、スマートフォン、タブレットで会員登録をすれば、誰でも無料で学習できます。さらに、スマートフォン向けのアプリも無料でダウンロードできます。

 最大の特徴は、平日の夕方に配信される「ライブ授業」です。大手予備校の教壇に立っていたプロ講師を採用し、高品質な授業を毎日リアルタイムで放送しています。ライブ授業には、生徒が講師に質問できるコメント機能があり、講師は生徒の理解度をリアルタイムに把握しながら授業を進められます。

 毎日3千人以上の中高生がライブ授業で勉強していますが、これは親による強制ではありません。

 実はオンライン学習の弱点は「継続性」で、これは自学自習である通信教育においても同様です。学習塾のように「教室の机に座らせる」という強制力が働かないので、生徒に学習を継続させることは非常にハードルが高いのです。

石井貴基氏の思い 学習を継続させるコミュニケーション

 それでは、なぜアオイゼミでは生徒が自主的に勉強しているのでしょうか。

 その答えは「コミュニケーション」です。先にも触れたように、生徒が授業中に分からないことがあれば、その場で講師に質問します。また、分からないという生徒がいれば、理解が進んでいる生徒がコメントで教えてあげたりもします。オンラインでありながら、「みんなと一緒に勉強する」「教えあう」「励ましあう」という実際の教室以上の熱気を帯びたコミュニケーションが交わされています。そして、一緒にライブ授業を受講した生徒同士は友人になり、「またあの友達と一緒に勉強しよう」と受講する意欲がわき、学習が継続できるのです。

 「自分がこの授業の一部を作った」という参加体験も「また受講したい!」というモチベーションを刺激します。このような「参加型」のライブ授業が継続の秘訣です。もちろん無料でご利用いただくだけではビジネスになりません。「アオイゼミで成績をもっと上げたい」という方向けの有料サービスでは、過去に配信された2500本以上のライブ授業が、「授業動画」としていつでも見放題になります。

 ライブ授業以外でも生徒が分からないことを講師に直接質問できる「個別質問窓口」が利用できたり、演習問題集を何度もダウンロードできるといったサービスがあります。

 有料プランは最大でも5千円ですので、一般的な学習塾に掛かる費用と比べて4分の1以下の金額となっています。これこそがIT化の恩恵ですし、今まで教育費が負担に思っていた世帯でも、高品質な教育サービスを圧倒的に安く手に入れられるようになりました。学習塾、家庭教師、通信教育に加えた、第4の選択肢として「オンライン学習塾」が一般的になるその日まで、日々精進してまいります。

関連記事

好評連載

エネルギーフォーカス

一覧へ

緑の経済成長とエネルギー

[連載] エネルギーフォーカス

Energy Focus

[連載] エネルギーフォーカス

今後、10年後の電力業界の様相(2)

[連載] エネルギーフォーカス

発電単価から既存原発の経済性を考える

テクノロジー潮流

一覧へ

科学技術開発とチームプレー

[連載] テクノロジー潮流

テクノロジー潮流

[連載] テクノロジー潮流

エボラ出血熱と情報セキュリティー

[連載] テクノロジー潮流

21世紀の日本のかたち 農電業と漁電業

[連載] テクノロジー潮流

工学システムの安全について

[連載] テクノロジー潮流

エネルギー移行と国民の価値観の変化

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る