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デブラシオ氏

20年ぶりの民主党NY市長、デブラシオ氏。女性幹部の積極登用で早くも大胆な行政改革に着手(撮影/筆者)

市長の講演会に押し寄せる人の波

 今年1月に109代ニューヨーク市長に就任したビル・デブラシオ氏の姿を講演会で見る機会が4月下旬にあった。20年ぶりに同市の首長を、民主党が共和党から奪回し、4カ月を経たところだ。

 市政担当記者でない限り、なかなか直接接する機会がないため、間近で撮影しようと、会場に30分前に着いたが、ニューヨーク地元メディアも既に到着。さらに、観客も早くから来て前方の席に押し寄せ、間もなく満席になった。

 前任のブルームバーグ氏(共和党から無所属)にせよ、市長が公の場に出て来る際、「ひと目、市長を見たい」と市民が多く駆け付けるのには、いつも驚かされる。スピーチも毎回周到に用意され、イベントのテーマに関連する政策を分かりやすく伝え、関係がなくても焦点になっている政策の推進を主張する。スピーチの後半は有権者向けだが、有権者も、市長が直に働き掛けることを期待し、参加している。

 

20年ぶりの民主市政は女性幹部を積極活用

 ブルームバーグ氏は、iPadにスピーチ原稿を持ち歩き、数字などのデータを確認しながら演説していた。また、急増するヒスパニック市民のため、市長自らスペイン語を学習し、任期半ばから、記者会見や演説の要旨だけ、スペイン語で発表するようになった。

 新任のデブラシオ市長はといえば、この日、コロンビア大学で行われた1時間あまりの講演を、原稿なしで難なくこなした。公約である、幼稚園前の児童学習に対する支援策、家賃の高騰が続く市内で、中間層に対する住宅対策、そして、気候変動による異常気象に備えた都市のインフラづくりが、講演の柱だ。

 3期のうち2期を共和党選出として勝利したブルームバーグ氏のころから見ると、教育や住宅など、富裕層ではなく中間層向けの政策が目立つ。

 また、政権内の変化も顕著だ。米紙ニューヨーク・タイムズによると、デブラシオ氏が就任以来、任命した市の幹部60人のうち、女性が過半数の32人を占めている。任命されていないポストがあと24残されているが、衛生庁長官、教育委員会委員長、市長首席補佐官など主要ポストが、今までのところすべて女性で占められている。ブルームバーグ政権では、定数59人に対し、男性38人と、男性が過半で、主要ポストは男性だった。

 同紙の記事は、デブラシオ市長が、交渉が難航していた教職員組合との契約更新を、女性幹部の人脈を使って合意にこぎ着けたと伝えている。過去のニューヨーク市役所の中ではなかったことだ。

 市長自身も、アフリカ系米国人と結婚しており、黒人というマイノリティーを妻に持つ白人市長としては、全米で初だ。