政治・経済

 北海道漁業協同組合連合会(通称、北海道ぎょれん)は、道内漁協が構成員となる連合会組織で、生産量は全国の4分の1を占める。業務は販売先の確保や価格のコントロールなどで、輸出業務も主な事業のひとつだ。天の恵みの産物だけに工業製品のように生産量を増やして輸出拡大につなげるという単純な話ではないようだ。

 

西 英司

西 英司(にし・えいじ)
1950年北海道生まれ。明治大学卒業後、北海道ぎょれんに入会。2004年に代表理事常務、同専務を経て、10年から現職。

輸出の第一の目的は「国内需給の調整」

 北海道ぎょれんの海外輸出の歴史は古く、既に40年近い歴史があります。

 当時は、オホーツク海で獲れたホタテの貝柱を干して香港へ輸出していまして、その貝柱は、中華料理の素材として香港経由で中国大陸にも運ばれていました。他にも、台湾には昆布を食べる習慣がありますので、年間で3千㌧ほど、釧路など道東の昆布が台湾に送られていました。残念ながら、今では中国で養殖された昆布の影響でその10分の1ほどの輸出量になっています。

 現在の輸出の形ができたのは、2003、4年頃からで、当時、秋サケの供給が増えてきたことで値段が下がっていました。国内の需給バランスの調整のために販路を海外に広げた。これが輸出量の増えたきっかけです。

 ご存じのように、水揚げされた水産物は市場に出ますと漁に掛かるコストにかかわらず、市場競争原理によって供給が増えれば値段が下がる仕組みで成り立っています。需給調整対策は私どもの重要な業務のひとつですので、輸出を促進することで販路を広げ国内の需給バランスを保っているのです。一般的に、企業の輸出といえば利潤追求型であろうかと思いますが、私どもは国内の安定供給、魚価維持が目的ですので、時には損を出してまでも輸出するというところがあります。

 道産水産物の輸出動向は、需給調整輸出の始まった04年頃から伸びました。

 北海道の秋サケは、ホタテや昆布と同じく漁船漁業とは違う資源管理型の漁業で、特にホタテと秋サケは漁協と生産者がお金を出し合って生産、販売してきました。ですから、このホタテ、秋サケにスケソウタラを加えた3品目が輸出の4分の3を占めます。13年度は道内の港から金額で531億円、道外から輸出される品もありますので、それも含めますと、道内外合わせて1千億円近くになります。日本全体で12年度1700億円の輸出額を20年までに3500億円にすることを目的に行っていますが、2年目にして2200億円にまで増えているんです。そのうちの1千億円が北海道の生産物というわけです。

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「不漁」、「生鮮」、天然資源ゆえの悩みも

 現在、順調に輸出を増やしていますが、主な3品目であるホタテ、秋サケ、スケソウタラを見てもその状況は異なります。

 秋サケは、4、5年前まで5、6万トン輸出され、そのほとんどが中国に送られていましたが、昨年は3万トンにまで下がっています。原因は為替です。中国に輸出はされていますが、実際に中国で消費されているわけでなく、加工されたものがさらに欧米に再輸出されているのです。加工業者にとって、原料の高騰はビジネスとして成り立たないというのが原因のようです。一方、ホタテは貝のまま送られているので差し引かねばなりませんが、トン数でいえば一昨年の2万3千トンから倍の4万6千トンにまで伸びています。

 スケソウタラは、今まで生鮮で韓国に多く輸出されていましたが、近年激減。これは福島第一原発の風評被害が原因です。

 このように輸出も金額ベースで見れば倍増となっているのですが、実際には魚種や相手国によって状況が全く違うということです。

 サケ・マスの世界の総生産量は天然、養殖合わせて240万トン、ホタテも世界で323万トンの生産があります。中国はもちろん、チリ、ペルーなどの南米勢が欧州にまで輸出しています。そういった世界の生産や流通の状況を念頭に置きながら戦略を立てないと戦っていけません。

 今後も、国内を優先させながら、大量に水揚げされた魚種や先ほどの主要3品目、日本では食されない魚種などを冷凍加工の原料などにして出荷するとともに、北海道産のブランド力を背景に生鮮に関しても一部顧客ニーズに合わせて輸出していく予定です。

 ただ、やはり生鮮になりますと航空便になりますので運賃コストが問題にはなりますね。ほかにも為替のリスクや信頼のおける取引相手の問題もありますから選択と集中で行っていこうと考えています。(談)

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