政治・経済

タリーズコーヒーで成功した松田公太が主張する政策とは

 化粧品大手「DHC」の吉田嘉明会長から8億円を借り入れていた問題で、代表の座を辞したみんなの党の渡辺喜美氏。いわゆる〝創業オーナー〟の失脚で、同党は転換期を迎えた。

 浅尾慶一郎新代表の下、新体制で衆参22人の集団は今後、どのような路線で活路を見いだしていくか、模索中といったところだろう。そのような中、民間から政治家に転身した同党の松田公太参院議員はブレない強みがあるという。

 松田氏は帰国子女で、国立大、銀行員という道を進みながらも、米国でタリーズコーヒーに出合い一念発起して銀行を退行、単身渡米。タリーズコーヒージャパンを設立し、成功を収める。いわば〝ベンチャーの勝ち組〟だ。その後、2010年の参院選に初出馬し、初当選を果たす。

 「日本を元気にするため、経営者目線で政治を変える」――。出馬当初から訴えていた松田氏は、今もベンチャー経営者の〝思考〟を捨てずに政策に取り組んでいる。

 そうした中、昨年松田氏はネット選挙法案可決に向けて超党派での活動に取り組み、昨夏の参院選で解禁となった。現在、積極的に取り組んでいるのが法人税減税だ。

 安倍晋三首相は4月15日、6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に法人税改革の「方向性」を記し、法人税の実効税率引き下げの道筋をつける意欲を示した。

 しかし、自民党内には依然、慎重論がつきまとう。

 「税収の上振れ分の何割を(減税財源に)回せるか、検討すべきだ」(菅義偉官房長官)

 「財政健全化目標の達成がおぼつかなくなる」(麻生太郎財務相)

 税率下げに必要な財源の確保が難航していることが、背景にはあるという。財政健全化を目指す〝財務省理論〟に乗っての理屈だ。しかし、松田氏はそれに真っ向から異を唱え、速やかに減税をしないとデフレ脱却がかなわなくなると訴える。

 「税制はゼロサムゲームではない。減税によって税収が上がるという前向きのとらえ方が必要だ」

 ゼロサムゲームとは、参加者の得点と失点の総和(サム)がゼロになるゲームのこと。減った分を別の場所で増やしてプラスマイナスゼロにする、法人税減税をするに当たって「必要な財源の確保」とは、別の部分で増税しようとすることにほかならない。そのような考え方を松田氏は、過去の経験を基に否定する。

イラスト/のり

イラスト/のり

 「私がまだ経営者だった05年ごろ、日本の経産省にあたるシンガポールのEDB(経済開発庁)の人たちが訪ねてきました。彼らは『将来、海外に拠点を移す気があるのか』『もしその気があるのなら、優遇税制で法人税をさらに1%下げる』と、猛烈なセールスをしてきたのです。そのとき、これがシンガポールが成長している理由なんだ、法人税率の低さが〝武器〟になっているのだと感じました。実際、タリーズを譲渡した後、シンガポールに移り、ビジネスを展開してきたのです」

 松田氏は景気に与える影響が大きいのは、法人税だと言い、続けて所得税、次いで消費税だと語る。

 「今、デフレの出口にきている時期で、景気が良くなるのかギリギリの線にきている。仮に、消費増税がなければ、ほぼデフレは脱却していたでしょう。しかし、増税で景況感が落ち込み、デフレ感が再び出ている。さらなるひと押しが必要なんです」

 

松田公太の経営者感覚はみんなの党を救うか

 日本では法人に対しさまざまな税控除があるが、さほど効果はないと松田氏は語る。単純に実効税率が低い数字に経営者は惹かれると言うのだ。

 「現在、シンガポールは17%、台湾も17%、香港は16・5%、韓国は24%。そういう中において経営者は、税率の低い国に移転したい気持ちが芽生えてしまう。実効税率以外の優遇税制をいろいろ揃えてみても、経営者目線からすると、なかなか響かないし、実際に活用していない」

 また、経営者感覚で思い切った改革も必要だと訴える。

 「みんなの党では『自由償却制度』を提言しています。設備投資したカネを一括して控除できるようにするものです。儲けたカネを内部留保しているのでは元も子も無い。また、同時に雇用促進税制の見直しにも着手し、人材の育成、活用に積極的に取り組めるようにするべきです」

 永田町で松田氏は「政治を知らない青二才のコーヒー屋」と呼ばれ、時に嘲笑の対象にもなっている。

 しかし、転換期を迎えた同党で、かつての輝きを取り戻す切り札となるのかどうかは、意外にもコーヒー屋が淹れた〝渾身の一杯〟と呼べる政策がカギなのかもしれない。

 

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