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筆者プロフィール

税務・会計心得帳

本郷孔洋(辻・本郷 税理士法人 理事長) (ほんごう・よしひろ) 辻・本郷 税理士法人 理事長。公認会計士・税理士。早稲田大学卒。総勢720名のスタッフを抱える税理士法人の理事長。会計の専門家として会計税務に携わって30余年。各界の経営者・起業家・著名人との交流を持つ。岩手県生まれ。

 

今回は、法人が活用できる節税の心得とポイントをいくつかに絞って紹介いたします。取り上げるのは①繰り延べ節税、②欠損金の利用、③少人数私募債の3つです。最後に、決算会議要チェックシートも公開しますので是非ご活用ください。

節税のポイント①繰り延べ節税

節税には、永久に節税できる「パーマネント(永久)節税」と「繰り延べ節税」の2種類があります。その後者、繰り延べ節税のポイントを紹介します。

繰り延べ節税の一例 〜税金はトータル一緒!?〜

 繰り延べ節税の一例として、特別償却が挙げられます。この施策を今期に適用した場合、その期の減価償却費は多くとれます。ただし、来期以降は減価償却費が少なくなるので、仮に会社の利益が一定だとすると、今期節税・来期増税となり、トータルで支払う税金は一緒となります。

 「レバレッジドリース」や「節税対策保険」(※)の活用も、繰り延べ節税の一種です。このうち、レバレッジドリースとは、少ない自己資金と多額の借入金で航空機などの高額品を組合形式で購入し、リースすることを指します。これにより、減価償却費を取り、レバレッジ(テコ)効果で初年度に多額の損金を計上することが可能となります。

繰り延べ節税の意義 〜繰り延べ節税は意味がない!?〜

 先の記述からも分かるとおり、繰り延べ節税は、支払う税金を繰り延べる施策で、利益が一定ならば、トータルで支払う税金は一緒です。

 そう言うと、繰り延べ節税に意味はないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 言うまでもなく、会社の利益は絶えず変動し、例えば、レバレッジドリースの満期に会社が赤字だったりすることも間々あります。この場合、レバレッジドリースの利益と会社の欠損が相殺され、結果、トータルでの節税につながります。

繰り延べ節税の効果 〜満期はなぜか業績が悪い〜

 また、節税対策保険にもレバレッジドリースと同じ効果が期待できます。

 不思議なことに、保険満期で利益計上する時期は業績が悪いことが少なくないんです。また仮にその期が黒字でも、当該期で節税プランを実行すれば、繰り延べ節税となり、それを繰り返せば、永久節税になるのです。

※節税対策保険:このタイプの保険では、支払い保険料の全額、または2分の1程度を損金に計上することが可能。将来解約した場合、累計払込保険料に対して最高80〜95%程度の解約返戻金がある。

 

節税のポイント②欠損金の利用が節税対策のキモ

 

 「M&Aの交渉時、買収先の社長に『欠損だけの会社で何もないじゃないか』と詰め寄ったところ、『何を言う、うちの資産は欠損だ!』と切り替えされたよ」

 これはある社長さんから聞いた話です。そう、欠損とキャッシュは表裏を成すもの。欠損を使えるかどうかでキャッシュフロー(税引き後の手取り)が違ってきます。ですから、事業再編やM&Aが加速している今日、欠損金の利用が1つの節税対策のキモになります。

連結納税も欠損金活用で

 持ち株会社づくりの活発化に伴い、連結納税を採用する会社が増えています。

 連結納税を採用する際、「連結納税の適用前に生じた赤字子会社の欠損金を引き継げるか否か」がポイントになります。原則は引き継げません。ですが、例外はあります。

 例えば、連結子会社が「株式移転完全子会社」であり、連結親法人の「事業年度開始日」の「5年前」から「開始日」までの間、「株式移転」にかかわっているとします。

 この場合、事業開始日から「7年以内」に、「子会社の各事業年度において生じた欠損金額」は、連結所得の金額の計算上、繰越控除対象の欠損金として取り扱えます。

「包括否認規定」に要注意!

 「包括否認規定」(法人税法第132条の2)とは、「組織再編成の容認と計算」が、法人税負担を不当に減少させる結果となった場合、その行為または計算を国側が否認できる規定です。

 最近では、ヤフーの事業再編でソフトバンクとヤフーの取引が租税回避行為と見なされ、包括否認規定が適用されました。裁判の一審は、課税庁側の勝訴となりました。

欠損金活用の実践は慎重に

 実務家の間では原告側(ヤフー側)が性急に事を進め過ぎたとの声があります。

 ですから、連結納税における欠損金活用を実行に移す際には、専門家を交えて慎重にことを進めるのが肝心です。時には、課税庁側のアグリーメントを事前に取っておくとよいでしょう。

節税のポイント③少人数私募債による節税

 

報酬を利息で受け取る節税対策を知る

 もう1つ、今やるべき節税の道具は「少人数私募債」。これは、通常の公募社債ではなく、オーナー一族や取引先など特定の人に直接勧誘して資金を調達するタイプの社債です。公募社債のような煩雑な行政手続きが不要で、次の4要件を満たせば、取締役会決議のみで発行することが可能です。

(1)社債権者は50人未満であること

(2)社債権者に証券業者など金融のプロがいないこと

(3)発行口数は50口未満であること

(4)発行会社が株式会社であること

 この社債を使う税務上のメリットは、「社債の受取利息が2割の申告分離課税」となること。要は、オーナーが自社社債を発行してもらい、それを引き受けると、受け取る社債利息の税金が2割で済むわけです。通常、高額報酬を給料として受け取ると5割が税金となりますが、社債利息でもらえば税金は2割。しかも会社側では、支払い利息として損金計上も可能です。

 社債の額には上限がありません。なので使い勝手がすこぶる良く、少人数私募債は人気を博しました。ところが、税制改正による規制の的となり、「平成27年12月までは現行税制」が適用されますが、「平成28年1月以降は総合課税」になります。ですから、まだ少人数私募債を使っていない方は、本当にやるなら「今」。それで1年以上は節税できるんです。

少人数私募債を相続税対策にも応用する

 少人数私募債は、相続対策にも使えます。「相続税精算課税制度」(※)を使うと、後継者に果実(社債の受け取り利息)が渡ります。それも2割の課税で済む。後継者の納税資金にも使えます。問題は、相続財産の評価が債権であることです。なので100%評価額になり、不動産評価などのようにディスカウントはありません。ですから、この制度の終了時に、「デッド・エクイティ・スワップ」(債権を現物出資して株式に換える)などの2次的対策が必要ですね。

※相続税精算課税制度:贈与税の特例のこと。65歳以上の親から20歳以上の子に対する贈与について、一生のうち2500万円までの贈与は非課税、これを超える贈与については一律2割(20%)の贈与税(相続税の前払い)がかかる。

 

節税のポイント④節税に向けた期末勘定の整理の仕方

 最後に、節税に向けた期末勘定の整理の仕方についてまとめておきます。決算期には期末在庫の棚卸を行い、残高を確定させますが、棚卸の対象とすべきは在庫だけではありません。固定資産や売掛金など、バランスシート上のあらゆる資産の棚卸を習慣的に行うことが大切ですし、それが節税につながります。

 私は、そうした資産の棚卸を「含み損の定期診断」と呼んでいますが、経験からいえば、良い会社ほど資産に対する見切が早く、資産上の損金を税で取り戻す手法にも通じています。参考までに、私の会社がお客さまの決算時に使っているチェックシートを示します。よろしければ、ご活用ください。

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