マネジメント

田邊会長

ユーシン・田邊会長

社長公募の奇策で話題となったユーシン

 

 今から4年前の2010年、新聞広告による社長募集という奇策で話題となった自動車部品製造会社のユーシン。一時は候補者の中から外務省出身の人材を選出し、取締役社長代行に据えたが、結局その人物は半年後に辞任、今年2月に2度目の社長公募に踏み切った。

 社内に適任者がいないために、外部から優秀な後継者を招きたいというのは、現会長兼社長の田邊耕二氏の強い願いである。同氏は現在80歳。後継者選びの時間はそれほど多くは残されていない。

 「今回は何としても決めたい」と、同氏は言う。

 田邊氏の掲げる新社長の条件は、前回の公募時と同じく「英語が堪能で国際経験が豊かであること」「地頭が良く商売のセンスがあること」だ。

 より優秀な人材に来てほしいという思いから、今回は新社長の年収条件を3千万円以上から4千万円以上に引き上げた。

 応募者にとって魅力的な話ではあるが、それだけに田邊氏が求めるレベルは相当高い。そのためか、前回は1700人以上もいた応募者は、今回20人程度に減った。その中から現在4人の候補者に絞って、約1年後をめどに後継者を決定する予定だという。

 

次期社長の選定に将来を懸けるユーシン

 

 社外公募というやり方に懐疑的な声があるのも事実だ。それでも、田邊氏があきらめないのはなぜか。

 「われわれの取引先のほとんどが海外にあるので、英語で商売ができないと話にならない。今はウチが同業者の中では世界トップの30%強の市場シェアを持っているが、これからはシェアが小さいところはますます生き残れなくなってくる。だから、今後も規模を拡大し、利益を上げ続けられる人に社長になってほしい」

 ユーシンは13年に仏ヴァレオ社からアクセスメカニズム事業を買収するなどし、さらなるシェア拡大を図っている。場合によっては、同社の中から優秀な人材を見つけて社長に据える可能性もあるという。能力さえあれば、国籍は関係ないという考え方である。

 これまで、自動車メーカーの系列に属さず、それゆえに独自路線で業績を伸ばし続けることに成功してきたユーシン。会社を牽引してきた田邊氏の功績は大きい。

 後継者選びは恐らくトップとして最後の仕事となるだろうが、果たして、めでたく有終の美を飾ることができるのだろうか。

(文=本誌編集長・吉田浩 写真=森モーリー鷹博)

 

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