政治・経済

 フルハイビジョンの4倍の画質の4K試験放送が6月2日に始まったが、4K効果を最初に享受できるはずのサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会を家庭で視聴できるかは微妙な情勢となっている。

 新藤義孝総務相は5月20日の閣議後会見で「4K放送が家庭のテレビで視聴できるのは世界で初めて。6月から始まるW杯の試合を4Kで放送できるよう最終調整中と聞いている」と胸を張って説明したが、規格や機器の問題は知らされていなかったようだ。

 4K試験放送の受信にはアンテナとは別に専用チューナーが必要だが、期間中に発売される市販品はシャープ製のレコーダーのみ。チューナーの規格が定まってないため他メーカーも開発には及び腰で「W杯を4Kテレビ普及の起爆剤に」と考えていた電機メーカーの目論見は当てが外れる可能性が高まってきた。

 試験放送を行うのは、NHKや電機メーカーなどで構成される「次世代放送推進フォーラム(ネクスTV)」で、サービス名は「チャンネル4K」。今のところ、この放送の受信機能を備えているのはシャープ製レコーダー(市場想定価格12万円前後)だけ。そのレコーダーの発売も6月25日の予定だ。一方、W杯は日本時間の13日に開幕し、1次リーグの日本戦は15日、20日、25日。決勝トーナメントに進出しない限り、日本代表の活躍を4Kの試験放送で見ることは難しい。

 シャープは「試験電波を受信し動作の最終確認をしてから量産するため、日程を繰り上げても25日」と説明している。「先行してレコーダーを入手する量販店の店頭では4K放送は可能」(ネクスTVの馬場俊明・普及広報部長)なため、4Kは当初、〝街頭テレビ〟からスタートすることになりそうだ。

 4K放送の最大のネックは周波数など規格の集約だ。今後、124/128度CS放送のほか、BSデジタル放送や110度CSデジタル放送でも検討されており、規格の統一が難しい。このため、三菱電機の能勢純一・京都製作所長は「今秋のモデルにチューナーを載せる予定はない」と明言するなど電機メーカーの温度差も大きい。新藤総務相の言葉とは裏腹に、一般家庭で4K放送を存分に楽しめるのはまだ先になりそうだ。

 
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